新宿3丁目の怪しい沖縄料理屋「城」で食べたヒージャーの刺身 | B級グルメを愛してる!

新宿3丁目の怪しい沖縄料理屋「城」で食べたヒージャーの刺身

新宿3丁目といえば、かってはオヤジ系飲み屋の巣窟みたいな場所であったが、

ここ数年、妙に近代化している

女子ウケするような店があちらこちらに出始めているのだ

よって若者がやたらと多く進出している

20代のサラリーマンたちは元気だ

合コンが繰り広げられることもあるだろう

しかしながら、そんな若者たちを一切寄せ付けないテイストを醸し出している店がある

沖縄料理の「城」もそんな店の一つだろう

 

城と書いて沖縄ではぐすくと読む

金城さんはかねぐすくさん、大城さんはおおぐすくさんになるわけだ

いまでこそ沖縄料理はブームといっていいくらいのにぎわいを見せているが、

ここ「城」はかなり年期が入っている

つまりオールド新宿3丁目テイストの店なのである

 

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店の看板が「城」の1文字だけ

沖縄料理ともなんとも書いていない

しかも2階にあるので、様子を伺うことも困難

何屋なんだ「城」って、店の前を通たびに思っていた

沖縄県人以外は普通に「しろ」と読むことだろう

「城」ってネーミングはなんかサパークラブな雰囲気が漂わないでもない

絨毯パブ系のイメージ

なんかヤバい感じの店なんだろうな、と思いつつもある時ついに入ってみることにした

これもB級魂のなせる技であろう

いまを遡ること10年近く前の話だ

 

入るとそこは絨毯パブならぬ畳の世界

陽気な沖縄ソングが流れている

なるほど沖縄料理の店だったのか

カウンターもあるが、迷わず座敷席へと向かってみる

なんかここの座敷はちょいとヘンなのである

アイドルのポスターやら生写真やら地図やら三味線やらいろんなもんが壁に貼られている

このセンスはダメダメ店かB級店かのどちらかだが、不思議と痛さは感じない

なーんか、馴染んでる感じだ

 

実はそれまで沖縄料理にはあまり縁がなかった

ゴーヤチャンプルは知っていたが、本場モンは食ったためしがない

そんな人間が沖縄料理のメニューを見るとどうなるか?

これが見事にサッパリわからないのである

スヌイ、スクガラス、スーチカ、クーブイリチ、マーミナ、チキアギ…

挙げたらきりがない…っつかほとんどわからない

グルメを自認する私であったが、未知の強豪に大挙出会った感覚だ

もちろんメニューにはそれらがなんであるかなど書かれてはいない

来る人はみんな知っているという前提なのであろう

初心者に優しくないところもB級っぽくてよろしい

 

なかでもものすごい心惹かれるネーミングに出会った

ヒージャーの刺身

刺身っていうからには生なんであろう

生で食うということは生で食べられるものなんであろう

魚…であればまったく問題ない

沖縄は南国だからして熱帯魚の刺身かもしれない

まぁ、食べられないこともないだろう

問題は魚じゃなかった場合だ

牛とか馬をヒージャーと呼ぶような気はしない

きっと沖縄特有の生き物なのだろう

ハブか?

「ハブ刺しはキツイねぇ」などと友人と話しながらとにかくヒージャー刺しなるものを頼んでみることにした

何が出てくるのかのお楽しみで、あえてヒージャーが何か聞かなかったのだ

チャレンジャーだね~

 

で、出てきたのはこれはいままでみたこともないようなあでやかな赤い色の物体

真っ赤も真っ赤、マグロの赤身どころの騒ぎではない

血の色…いや、赤いペンキの色だったわけですね、これが

 

見るからにヤバそうなテイストを醸し出している

何なのよ、これは

ちょっと後悔してみた

「この…赤さはヤバいよね…」

「けものの色だよね…これは」

「それも、普通刺身で食べないけものだよな…きっと」

 

そんな会話を交わしながら恐る恐るその赤い物体を口に入れてみた

案の定、生臭い

気分は泣きたい

とにかくヒージャーって何なんだ

そのことだけが頭の中を駆けめぐる

 

しかも、刺身の盛りがハンパない

こんなにサービスしなくていいのに…

友人は「案外、いけるね」などと言いながら、つまんでいる

私は好き嫌いはまったくない、といっても過言ではないが、

何を食べているんだかわからない不安感&この生臭さが異様な不安を与える

歯ごたえも刺身で食うもんじゃない感じのゴツゴツ感がある

私1:友人:3の割合でなんとか一皿平らげた

 

で、おやじさんにヒージャーって何んですか、と聞いてみた

「ヒージャーは山羊だよ、沖縄じゃあらゆる部位を食べるね」

山羊?山羊は刺身で食べないだろ

っつか、羊ならジンギスカンで食べるが、山羊だぜ

山羊さんのお乳…確かに生臭いです、クセありまくりです

山羊さんのお肉…上に同じです

うんメ~、という感じではありません

あしからず

 

沖縄深いぜ

山羊を食べる民族だぜ

もう沖縄には足向けて眠れねぇぜ

とかわけのわからんことを考えながら、またも未知の強豪に挑んでいった…

海ぶどう…うんめぇー

プチプチ感がたまらないぜ

そんなわけで、ヒージャーの悪夢を追い払うべく、チャンプルなんぞに舌鼓をうつのであった…

 

私がはじめて本格的な沖縄料理に出会った店…

新宿3丁目「城」

沖縄家庭料理とマニアな雰囲気を堪能できる

素敵なB級スポットである

 

●沖縄料理「城」

 東京都新宿区新宿3-8-5中川ビル2F

 03-5269-2269

 営業時間:18:00~5:00

 定休日:月曜