ソース焼きそばの魔力~浅草・花家の潔さ~ | B級グルメを愛してる!

ソース焼きそばの魔力~浅草・花家の潔さ~

ソース焼きそばという食べ物は極めて微妙な位置にあるのではないかと思う

縁日で食べるにはこれほど最適なものはない、というイメージだが、

中華料理屋などではなぜか手を出しにくい

なんか家庭料理の域を出ない食べ物 、というか、わざわざ店で食べるほどのものでは…

という思いに捕らわれてしまう

たとえば、ラーメンなんかの場合は家庭で作るのとラーメン屋で食べるのとでは雲泥の差があるが、

ソース焼きそばの場合、それほど変わらないんじゃないかと思う

具はキャベツに肉に紅ショウガ、青のり といったところ

豪華さだとか華やかさなどからは無縁のB級テイストが漂っている

メインディッシュとしては物足りなさを感じぜざるをえない

 

しかしながら、世の中にはこのソース焼きそばだけを販売しているという潔い店がある

浅草は田原町駅交差点に軒を構える「花家 」がそれだ

 

看板には「甘味・喫茶・焼きそば 花家」とある

店は創業60年ということで、それなりの風格が漂っている

昔ながらの大衆食堂的な感じだ

店のメニューは

焼きそば  300円

大盛り400円

あと飲み物類が

サイダー・コーラ・ジュース・ビール

これだけである

 

hana 

 

その他に店先でおいなりさんとおにぎりが売られているが、

やはりソース焼きそば専門店といって差し支えないはずだ

ちなみにここのおにぎりは鶏スープの味が染みたなかなかの逸品で

おいなりさんともども昼時に売り切れてしまう人気商品だったりする

 

さて、肝心の焼きそばは、店先の鉄板の上で炒められている

寡黙なオヤジが黙々と炒める

できあがった焼きそばはやはり縁日風の王道を行く出来映え

具はキャベツとモヤシのみ 、もちろん肉などは入っていない

肉入りはソース焼きそば界では邪道、という気さえする

味はまさにTHE ソース焼きそば

ちょいと薄めの味なので、備え付けのソースで好みの味付けに変えるもよし

屋台で食べる焼きそばと違って、ちゃんと店で食べるところがなんとも泣ける

皿に盛られた焼きそばはやはりチープなんである

 

どんなに味わったところで5分で食べ終わる

「早い・安い」は牛丼並みといえよう

おそらく味なんかにも様々な工夫があるのかもしれない

しかし、圧倒的な具の少なさ、全体がソース色でダーク、色づけが紅ショウガに青のりだけという、

このソース焼きそばの風体がすべての努力を打ち消してしまう

 

やっぱり、ソース焼きそばはソース焼きそばでしかない、と言うことだ

 

この潔い風体のソース焼きそばのみを提供する「花家」の潔さ、

浅草散歩に組み入れたいB級コースだ

 

●「花家」

 台東区西浅草1-1-18

 定休日:日曜