呼子のイカは永遠に~四国・九州旅情編その5~ | B級グルメを愛してる!

呼子のイカは永遠に~四国・九州旅情編その5~

いよいよ四国・九州の旅もラストを迎える。

東京を出発して早2週間…

「讃岐うどんを本場で食べたい!」という暇人的発想から生まれたこの旅もクライマックスを迎えるわけだ。

そう、ついに私は佐賀県呼子に到着したのである。


玄界灘に沈む夕陽を見ながら新鮮なイカをつまみに地酒を飲んでしみじみと過ごしたい

そんな思いを胸に海沿いを軽快に飛ばす。

しかし、見あたるのは大箱の店ばかり…

シブイ飲み屋風の店が見あたらないのである。


もしや、観光客相手の大箱の店しかないのでは

いやーな、予感が背筋を走る。

そうだ漁港の側に行ってみよう、マグロで有名な三崎町なんかは漁港の側にいい感じの店が何軒もある。

呼子大橋を渡って加部島という小さな島へと渡る。

ちょうどレインボーブリッジを渡ってお台場に行くような感覚である。


期待に胸を躍らせ橋を渡る…が、ほどなくして愕然とする。

やはり、大箱系しかない。

島中をくまなく走ってみるが結果は同じだった。

私のワビ・サビ計画は水泡と消えてしまったようだ


どこの店に入ろうかと思い。いろいろと見てまたも愕然とする。

どの店も同じメニューを同じ金額設定で出しているのである。

しかも主力が定食系とくればこれはもうこう思うしかないだろう。


島全体が巨大なファミレスなんである

やれやれ


気を取り直して目に付いた店に入ってみることにする。

「いか道楽」…ご存知道楽シリーズのカニ、エビ同様、

巨大なイカが足をくねらせている看板がある、

なんてことはない。

平日のためか店はガランとしており、貸し切り状態。

親子連れとかいて騒がれてたらそれこそファミレスだが、

1人静かに海に沈む夕陽を見ながら…というシチュエーションは悪くない


スペシャルいか活造り定食(いか活造り、下足天ぷら、伊勢海老赤だし、いかじまん、いかしゅうまい、茶碗蒸し、ごはん、赤だし、香物、果物)を注文して、ビールをオーダーする。

酔ったらどこかの旅館にでも泊まるつもりだったんだが…


ほどなくしてついにいかの活造りが運ばれてきた。

いろいろと紆余曲折はあったが、呼子のイカに罪はない


ika

目の前に現れた呼子のイカ様はまさに透明な肌(?)をなされていた。

新鮮なイカは透明だと聞いていたが、まさにその素晴らしき柔肌とご対面できたわけだ。

ちょいと裏切られた感は否めないが、いままでのいきさつは忘れて、お前を味わってやろうじゃないが
そんな思いで、イカを一切れ口に運ぶ。


ち、違う

いままでいろんなイカを食ってきたが、食感、味わいが明らかに違う。

イカという生き物は極めてデリケートに出来ているらしく、

人が触れただけでやけどを起こして死んでしまうと聞く。

漁港から揚げたら即座に生け簀に移して、海中と同じ状態で保つことができなければ

この透明なイカは生まれないのである。

さすが漁港のすぐそばにある店だけのことはあるぜ。


まず、歯ごたえが違うのだ

シャキッ、とした歯ごたえがある。

東京で食べるイカはどんなに新鮮であっても

噛みしめたときにどうしてもねっちょり感がやや残る。

デリケートなイカ様はたとえ生け簀にいれられていたとしても

環境の変化ですぐに気分を損ねてしまうのである。


さらにほんのりとした甘味が新鮮さを物語るようだ。


来て良かった…

いままでさんざん悪態をついてゴメンな

玄界灘の夕陽を見ながらそんなことを思った。


イカのコースを一通りいただく

もう一度、あのいかの活造りを味わいたい…

しかし、すでに陽は落ち、あたりは暗くなり始めている。

ここでもう一回戦、イカ食っちゃたら、どっぷり飲んでその日は終了、

ってなことになっちゃうんだろうな…


しかし、ここは孤島の漁港

夜8時になれば付近は真っ暗。泊まろうにも宿もなさそうだ。

しかたなく、イカはあきらめて呼子を脱出することにする。


こうして私の長きにわたる四国・九州巡業ツアーも終わりを告げた、

のであるが、ここはまだ佐賀県。

東京への道はまだまだ長く険しく、危機一髪の困難が待ち受けているのであるが

それはまた別のお話


●いか料理専門店 「いか道楽」

 佐賀県東松浦郡呼子町加部島海岸通り

 電話:0955-82-5539

 営業時間:10:30~20:00