史上最悪の地獄湯 山ん城温泉での恐怖~四国・九州旅情編その4~ | B級グルメを愛してる!

史上最悪の地獄湯 山ん城温泉での恐怖~四国・九州旅情編その4~

砂風呂に入って満足した一行は(私、1人だけだが)鹿児島でしこたま焼酎を購入し(伊佐美、山ねこ、芋、大正の一滴、百年の孤独などなど)

九州での最大目標となっていた呼子のイカを食いに行くのであった。

呼子のイカ…史上最強とも言われる KING OF SQUID

その肌は透明に透き通り、我々が今まで食してきたどんな新鮮なイカも呼子のイカと比べれば似て非なる食べ物といわざるを得ないという…

まさしく未知の味がそこに待っているのだ。

イカ食い者としては、是非とも味あわなければならないさだめにある。

しかし、その前にちょっとまた寄り道をしてみるんだった。

私は実は温泉グルマンでもある。

聞くところによると鹿児島県に山ん城温泉(やまんじょうと読む)なる日本一ワイルドな川湯があるという。

そこは至るところから噴煙が立ち上り、あたりには硫黄臭がたちこめている…

山深い川の上流部がそのまんま天然川湯になった温泉フリークからしてみれば桃源郷のような場所と聞く。

行ってみるしかない…

しかし、そこに行くには予想以上の困難が待ち受けているだろうと物の本には書いてあった。

で、行ってみる。

山中の砂利道を走っていると立て看板が見つかった。

「これより先、進むべからず。毒ガス発生区域なり。これより先に立ち入る者にどんな事故があっても当局は一切の責任を負わないものとする 鹿児島県営林局」

恐~え~

何が待ち受けてるんだよ、この先に

っつうか、温泉なんかホントにあるんですか?って感じですね。

いくらなんでも毒ガスはヤバイだろう

よっぽど引き返そうと思ったが、好奇心の方がどうしても勝る。

私はB級温泉も好きなのであった

さらに山奥へと進む。

途中にゲートがあって鎖で塞がれていた。

ええい、ここまで来たら面倒だ。

で、強行突破を果たす。

しばらく行くとちょいと開けた場所に出た。

きっとここが桃源郷に違いない…

しかし、なにせ毒ガス発生区域である。

迂闊に外に出たらどんなことになるやもわからない。

窓をちょいと降ろしてみる。

著しく硫黄臭い…

しかし、毒ガスではないようだ。

車を降りてみる。

川そのもが見あたらない。

ここではないのか…

ふと茂みの奥に沼地のような場所がほの見えた。

茂みをかき分け行ってみる。



yamanshiro


そこは…桃源郷ならぬ地獄湯の様相

別府の地獄温泉などとは比較にならない。

まず、沼地がボコボコと泡立っている

流れがないために水は毒々しく濁り、不気味な様相を呈している。

どうやら、ここが山ん城温泉らしい…

いや温泉だったらしい、といった方がいいか。

おそらく桃源郷だったのはもう過去の話で、いまはガスが発生し過ぎて

使われていないことがほどなくしてわかった。

とにかく帰ろう。

その時だった!

足がズブズブズブと沼地の中にハマってく

その勢いはまさにアリ地獄にハマったアリのごとく

あっという間に膝まで沈んでしまった。

足を上げて抜け出すことは不可能だ。

私は立派な大人であるが、ちょっと泣きそうになる。

とにかく、山ん中、どんなに叫ぼうが人はいない。

なにせ国が責任を負ってくれない地域なのである。

日本じゃねぇじゃん。


こうなるとどうなろうとこの状況から一刻も早く抜け出すしかない。

財布やデジカメやらを陸地に放り投げ、覚悟を決めた。

立っていたのでは自分の体重で沈んでいくだけだ。

水に飛び込めばその恐怖からは救われる。

たとえ、この硫黄臭が一生からだから消えなくなったとしてもかまわない。

私はこのおどろおどろしい沼地にみずから飛び込んでいったのであった

人生最後の瞬間にいままでのことが走馬燈のように脳裏に浮かぶというのは本当である。

私は足が沈んでいくほんの数秒の間にいろいろと思いだし、そして考えた。

このままこの沼地に沈んでしまったら誰にも発見されないまま、死んじゃうんだろうな…とか。

数分後、無事、地獄沼から脱出した…

しかし、臭い。

全身が硫黄臭に包まれている

とりあえず、タオルで全身を拭いてみたが臭いは取れない。

これまた生き地獄のようなもんである。

看板に偽り無し

ゴメンなさい、営林局の皆さま、ホントのホントにヤバかったんですね。

すっかりと暗くなった頃、山林の入り口にある温泉地へと舞い戻った。

しかし、このままではどんな宿でも泊めてはくれまい。

異様なる硫黄臭のする男として、香港に売られるかもしれない。

ふと見ると誰でも利用可能の足湯があるではないか。

人はすでにいない。

みんな宿でゆったりと過ごしている頃だろう。

私は全裸になり足湯の浅ーい風呂の中でじゃぶじゃぶと全身を洗うのであった

教訓

桃源郷を夢見る者、現実に打ちのめされる

呼子のイカにたどり着くにはまだまだ試練が続くのであった…

●山ん城温泉

 鹿児島県姶良郡牧園町高千穂山ん城温泉

 (現在は封鎖中)