築地場内市場に漂うなんともいえぬピリピリ感 ~築地「豊ちゃん」のアタマライス~ | B級グルメを愛してる!

築地場内市場に漂うなんともいえぬピリピリ感 ~築地「豊ちゃん」のアタマライス~

築地という場所はいまだに緊張する数少ない場所である。

なにかプロの町、という気がして、素人風情がうろちょろするのは忍ばれたりする。

場外の昭和通りに面している店なんかはまだ入りやすかったりするが、

ちょっと1本裏通りにはいるとそこはまさに職人の世界。

THE築地な風景が続くことになる。


場外市場の迷路のような道をうねうねと歩いていると

いたるところでメシをかきこんでいる人々を見かける。

おおむねは市場関係者のような感じだが、中には私と同じ素人風もチラホラといる。

どの店も小さく、市場独特の猥雑な感じと活気に満ちている。

マグロ丼をはじめとする刺身丼を売りにした店が多く、だいたいが800~1000円くらい。

ボリュームもなかなかのもので、いかにも築地らしいランチである。


が、今回は場外よりさらに緊張度が増す場内へと行ってみる。

場外を奥へ奥へと進んでいくと築地市場の入り口が見える。

ここから向こうはホントのプロの世界。

勝手に入っちゃっていいのかと思うくらいピリピリとした雰囲気が漂っている。

で、訪れたのがこの店。

アタマライスで有名な「豊ちゃん」である。


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(アタマライスで有名な豊ちゃん)



アタマライスとはカツ丼のカツの部分とゴハンの部分が別々に出されるもので、

なぜ別々に出すのか、なんのために別々に出すのかは不明だ。

きっとものすごい理由があるのだろう。

ちなみにカツの脂身が嫌いな人は「ないアタマ」、好きな人は「あるアタマ」と注文する。

豊ちゃんの呪文である。


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(ジューシーなアタマ)



しかし、今回注文したのはオムハヤシライス

ハヤシカレーの上にオムレツを乗せた、いかにも洋食屋らしいメニューだ。

ハヤシライスが食べられて、しかもオムレツも食べられる。

このお得感がなんともいえずに良い。

場内の食堂は場外の店よりもさらにせわしない感じがする。

ゆっくり味わって食べたりしている場合じゃない、

ガッツリと腹一杯食って、さっさと仕事に戻れ、ってな感じだろうか。

力仕事の現場ならではの食堂、といった感じだ。



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(オムカレーもあるが、やはりハヤシが気分)



オムハヤシにはキャベツが添えられている。

このキャベツのシャキシャキ感を味わいながら、ハヤシとオムを掻き込むのがなんともいい。

特に朝の仕事がひけた市場関係者が集まる7時くらいの活気が素晴らしい。

この雰囲気の中で一仕事を終えたいかつい野郎共と一緒に食事をするのはなんとも緊張する。

素人風情がこんなところにまで入ってきてよ、と沈黙のうちに言われている気がひしひしと伝わってくる。

こんなプレッシャーの中でメシを食うなんて早々体験できるもんではない。

ピリピリメシ、とでもいうのだろうか。

かといって決して居心地が悪いわけではなく、楽しい食事の時間を十分すぎるほど堪能できる


ここに来るたびに「己もまだまだ未熟者だな」と感じる。

まだまだ世界は広く深いんである。


●「豊ちゃん」

 東京都中央区築地5-2-1
 東京中央卸売市場関連棟1号館

 電話:03-3541-9062

 営業時間:5:30~13:30

 定休日:日・祭日、市場定休日