三の酉のぬるぬる煮込みに熟女ママ軍団の魔の手が… ~花園神社の屋台にて~
恒例になっている花園神社の三の酉へと行ってきた。
いわゆる神社の祭りというものが年々寂しい感じになっている中、
酉の市だけは活況だ。
とにかく出店の数がすごい。
浅草に住んでいた頃は浅草酉の市に出掛けるのが楽しみだった。
ここは数百メートルに渡って、通りの両サイドを露天が埋め尽くすという大盛況ぶり。
露天商の見本市みたいになんでも揃っていた。
地元出身の友人といったときなどは、屋台で飲めや食えやの歓待を受けたりした。
隣に座ったその筋らしき人(目高組ではない)からも「ニィちゃん、飲みっぷりえぇのぉ、もっと酒飲めや」とひたすら勧められたり…
浅草地元民のつながりとはなんと強力なのかと関心した次第である。
新宿・花園神社の酉の市は浅草と比べれば規模は小さいものの、
来ている客が面白いのなんのって…
(毎年、同じ店で買うのである)
それはとりあえずおいておいて、まずは去年買った熊手をお炊きあげしてから、境内にて参拝。
しかるに去年よりもちとBIGな熊手を購入。
いつも買う店は同じだが、どの熊手を買うかでいつも悩む…
宝船がいいか兜がいいか七福神がいいか…
今年は理由あって兜にしてみる。
入山に会社の名前を書いてもらい、最後は三本締め。
「お手を拝借、せーの、ヨヨヨイ、ヨヨヨイ、ヨヨヨイヨイ」と店の人が声をかけると威勢の良い声で客から「ソイヤー!」と合いの手が入る。
この「ソイヤー!」という掛け声を気持ちよく言ってくれている集団を見るとこれまた艶やかなホステスとおぼしき一団であった。
うーん、さすが新宿、水商売が元気な街であると納得した。
ふと近くからひときわ大きな声で三本締めどころか十本締めのようなながーい掛け声が聞こえてきた。
花園神社の隣に位置する「東京飯店」が熊手を購入したようだ。
見に行くとこれが見たこともないような超巨大熊手なのである。
しかも、1本ではなく特大熊手も数本見受けられた。
もう何十年も前から買い続け、これ以上大きな熊手が出来ない、というところまできているのだろう。
我が社もそれくらい繁盛してもらいたいもんである。
その後、いつもは近隣の店に食事に出掛けるんだが、今回は神社内の出店に伺ってみることにした。
さすがにどの店も満席でわいわいがやがやとにぎわっている。
店頭で串ものを焼く姿なんかを見ているとなかなかにそそられる。
山盛りの焼き鳥もさることながら、煮込み鍋やおでん、サザエ、ホタテなどの海鮮物などなかなかに揃っている。
席が空くのを待ってすべり込んでみた。
早速、ビールと煮込み、焼き鳥を注文する。
トイ面のおねぇさん方乃の一団から乾杯の催促を受ける。
結構、できあがっているようである。
年の頃は30代後半、といったところだろうか。
あきらかな水商売風。スナック、バーのママ軍団のように見受けられる。
あまりの迫力に気後れしながらチビチビとやっていると
「あんた、男なんだからそんなにチビチビやってんじゃないわよ!」とママ軍団から叱咤を受けた。
「す、すんません」とかなんとかいいながら、ビールをグイとやってみた。
「あーもうじれったいわね、男ならこうでしょうこう」といいながらママ軍団のひとりがコップ酒をイッキした。
「おぉー」と周りは拍手喝采である。
こうなると後には引けない雰囲気だ。
しかたがないので、こっちもコップ酒。
うーむ、剣菱か…イッキはちとキツイ…最近、この手は飲んでないからな…
ま、それもまた人生と思いグイとあけてみる。
いつの間にか店中が注目しているぜ…なんてこった
とそこにホストの一団がやってきた。
どうやらママ軍団の知り合いらしい。
ホスト軍団は来るなり全員、剣菱イッキだ。
すごい様相を呈してきた。
さすが歌舞伎町商売人たちがわんさかと集まっているだけある。
これで来年も商売繁盛することだろう。
しかし、この状況はいささかキツイ。
そうだ煮込みを食わねば、とおもい箸をつけてみる。
「ぬ、ぬるい…」
なんじゃこりゃ、と心の中で叫んでみる。
あいかわらず周囲はホストクラブ状態だ。
この雰囲気ならこの味で然るべきか…
うーむ、祭りはやはり地元民のものだといたく実感した。
剣菱とぬる煮込みにあたった私は美味なもつ煮込みを求めて夜の街へと繰り出すのであった…