バクダンと大相撲中継 ~立ち飲み屋 五反田「呑ん気」の憩いタイム~
ほんの軽飲みしたい時に立ち飲み屋というは実にありがたい存在であったりする。
夕方の小1時間、うらぶれた時間を過ごすために五反田にある「呑ん気」に訪れた。
5時をちょいと回ったくらいの時間だったのでまだ客は3人だけ。
店のオヤジと話しながら大相撲観戦にうつつを抜かしていた。
「また今場所も朝青龍が優勝すんだろうな」
とかなんとかいいながら、焼酎をあおっている。
なんとのどかな風景だろうか。
オヤジさんはアフロヘアーで石立鉄男がちょっとつぶれた感じのなんとも愛嬌ある顔立ち。
おかみさんはデーンとした豪快な感じで、こちらも存在感がある。
50種類以上はあるおつまみは概ね、200円と300円。
キャッシュ・オン・デリバリーなので、灰皿に小銭を入れている人を多く見かける。
(スパサラ てんこ盛りで200円也)
まずはビールを注文して、スパサラと明太イワシを注文。
スパサラはてんこ盛りで200円。
明太イワシもガッツリと食べでがある。
(明太イワシ 300円也)
相撲の取り組みはとととんと進み、結びの一番、朝青龍-白鵬戦を迎えようとしていた。
オヤジも調理の手を休め、テレビに見入っている。
時間はまだ6時前。
ポツポツと訪れる常連は何の仕事をしてるんだかわからん感じのオヤジばかり。
これまた立ち飲み屋らしい風景である。
オヤジは常連が来るたびに「おかえりなさい」と挨拶をするが、これがなんとも温かみがあってよい。
立ち飲み屋でありながら、ふれあい酒場のような温もりを感じる。
取り組みは朝青龍が貫禄勝ちし、単独で1敗をキープ。
店の客たちからは一斉にため息が漏れた。
「これで今場所も終わったようなもんだね…」とオヤジもがっかりとした様子だ。
なんといういい光景だろうか…
夕暮れ時の立ち飲み屋と相撲中継というのは実にマッチしている。
6時をすぎるとサラリーマンたちがどっと押し寄せてきた。
それまでのどかな雰囲気が一変し、店が活気づいている。
店のあちこちから「バクダン お願い」の声が掛かっている。
バクダンとはこの店の名物で、焼酎のビール割りだ。
バクダンはすっきりと飲みやすく、グイグイといける。
サワーみたいな甘ったるさがないだけに料理と良くマッチする。
バクダンとモツ煮込みを頼む。
モツ煮込みはもたっぷりとモツが入って、わずか200円というのがありがたい。
その昔は「やけ酒」ってのがあって、店の奥に皿を投げてたたき割るコーナーもあったという物騒な店だったが、
いまは和気藹々な家庭的雰囲気を醸し出している立ち飲み屋、といった風情だ。
夕方から酒をあおっているようなダメオヤジの時間は終わり、
サラリーマンタイムへと変わるとそろそろおいとまの時間か。
まったりとした時間が流れる、夕暮れ時の立ち飲み屋の空気が結構、気に入っている。
●「呑ん気」
東京都品川区西五反田1-2-6
電話:03-3490-5719
営業時間:16:30~23:00
定休日:土、日、祝日