獣を食らおう!ジビエ天国 ~逗子「またぎ」の鉄砲オヤジの巻~ | B級グルメを愛してる!

獣を食らおう!ジビエ天国 ~逗子「またぎ」の鉄砲オヤジの巻~

ジビエなどというとなんだか上品なフレンチ、みたいなイメージがあるが

実のところ獣肉なわけである。

野鳥、猪、熊、鹿

野山を駆け回り、空を飛び回る野生の動物たちを鉄砲でパーンと仕留めて、

ハイどうぞと客に出す店のことを「ジビエの店」などと呼ぶのは気分ではない。

やはり、もっとハードでなけりゃイカン。

逗子にそんな期待に応える「またぎ」という店がある。

まさに猟師の家、と呼ぶに相応しいゴッツイ店だ。


店内には長方形の巨大な囲炉裏がある。

客はこの囲炉裏の前に陣取って、獣肉を思い思いに焼く、といった趣向だ。

一応、店にメニューはあるが、誰もメニューを見て注文している人を見たことがない。


またぎ

(またぎな感じの獣肉メニューはあるのだが…)


オヤジが取ってきた獣肉を目当てに来ている客ばかりなので、

すべからくおまかせでOK、ということなのだろう。

そのあたりも猟師の住む山小屋に来た、という感があってよい。


そんなわけで今日おまかせでお願いした。

まず、出されたのが小鳥である。

小鳥…文字通り小さな鳥だが、なんの鳥だかは教えてもらえない。



またぎ

(謎の小鳥…脂がのっていて美味)


一説によると捕ってはいけない鳥、という話もあるが、逗子の山で捕れる鳥らしい。

この小鳥がかなり脂がのっていて良いのだ。

墨で焼いていると脂がポタポタと滴ってくる。



またぎ

(火の中心を外してじっくりと焼く)


するとオヤジが「この小鳥、焦がさないように焼くとすげえうめぇんだぞ」と教えてくれた。
脂が滴るたびにボッと火が強くなり、鳥を焦がす。

そこでを五徳を網の下に入れ、火からの高さを調整する。

今度は脂が垂れ落ちて火が強くなっても肉までは届かない。

これで良し。

こういう野生の肉は強火にかけずに火から遠ざけてじっくりと焼くのが良いのだ。

で、焼き上がったのがこちら。



またぎ

(いい感じに焼けた小鳥様)


ここまでじっくりと焼けば頭から骨まですべてガブガブといける。

フレンチでいうところのジビエなどという軟弱なものではこうはいかないだろう。

続いてはバチマグロの刺身を軽く炙っていただく。

もちろん刺身でもいける。


またぎ

(バチマグロの刺身。生でもいけます)


続いては鹿だ。

これもオヤジが鉄砲でババンと撃ってきたやつだ。

オヤジはなにより猟が好き、という鉄砲オヤジで、

お客の予約が入ったりすると猟にいけねぇじゃなねぇか、とグチをこぼすほどである。

店には射撃大会の賞状が何枚も飾られている。

まさに猟師の店、といったところであろう。

またぎ

(まさに野生の味。ごっつりとりた鹿肉)


野生の肉は食べでが違う。

牛とか豚とかとはあきらかに違う、独特の風味。

体の内に眠る野生が目覚める気がしてくる。


基本的に酒類は持ち込みをする。

この獣肉に負けないワイン、日本酒などを。

いつも一緒に行くメンバーが利き酒師やバーの店主、肉関係の店主などなので

酒類に関してはほぼ万全。

ごっつりとした獣肉に実に合う酒が用意される。

他にも自家製ゆず胡椒や黒七味、様々な塩などの調味料も持ち込まれ、

思い思いの味付けで肉を食らう。

なにせ猟師の店なわけだから、そういうことは自分でやるのである。


そして、〆にはシシ鍋をいただく。


またぎ
(獣肉コースのしめを飾るに相応しい重厚なお味)


これがねー、不思議とガツガツはいっちゃうんですよ。

かなり肉食べてもうお腹いっぱい、ってはずなんですが。

イノシシも単体で食べると野性味にあふれ苦手な方も多いと思いますが、鍋ならばイケる。

イケイケGOGO!コイケヤ、ってなもんである。

最後は雑炊とかすいとんにしてスープまで全部いただきます。

ごちそうさまでゴンした。


も、見た目がそのまんまの鉄砲オヤジが捌く獣肉をただ目の前で焼くだけ、というシンプルな構図の店だけに

客側も山小屋を訪れるような気分になる。

オヤジ、今日の猟はどうだった?」と猟の話で盛り上がったりして、これもまた極上の酒の肴。

がっつり食って、がっつり飲んで、これで次の日はハードなウンコが出てくること間違いなし!

獣肉パワーを満喫できる素敵な店なんである。


●「またぎ」

神奈川県三浦郡葉山町