下町を巡る極上酒場の旅 その① ~浅草 正直ビアホール編~
「飲み屋は下町に限る」と断言してはばからない男がいる。
超メジャースカバンドのベースK氏である。
彼は世田谷に住んでいるにもかかわらず、週に1度、多いときには3度も下町の居酒屋へと繰り出している。
マニアとかいうレベルではない。
しかもK氏はツアーなどで訪れる街ごと渋い飲み屋を探し歩いているという筋金入り。
芸能界のB級酒場王と呼ばせていただきたいほどの御仁だ。
なにをかくそう私も下町を堪能したいがために吾妻橋に住んだことがある。
まだ陽の高いうちから酒をあおってうまいつまみに舌鼓を打つ、というのに憧れていたわけだ。
というわけで、今回はK氏とともに下町をグルグルリとまわってきた。
まず最初に訪れたのは「正直ビアホール」である。
ここは前にも訪れたことがあるので、詳細は省くが(http://ameblo.jp/b-classgourmet/day-20060621.html )
浅草テイストにあふれた素敵なビアホールである。
(今度はちゃんと飲む前に撮りました)
6時過ぎに訪れたが先客はなく、しばしお母さんと話し込む。
と、大昔の常連客、というのがやってきた。
お母さんも顔に見覚えがあるらしいのだが、名前どころか何者かもわからない様子。
なんでも以前来たのは10年近く前で、その頃はよく来ていたとのことだ。
お母さんは「ちょっと待って、絶対に思い出すから」と言って記憶の糸を会話から必死にたぐり寄せているようだ。
しばらくたった頃だった。
「思い出した!自衛隊の人でしょ!」
と突然、お母さんが叫んだ。
ご名答。
確かにその方は自衛隊の教官だった。
市ヶ谷駐屯地にいた10数年前はよく来ていたらしく、その頃の思い出話に花が咲く。
市ヶ谷以降、青森や富士の方に行っていて、奥様とも自衛隊内で知り合ったとのことだった。
で、自衛隊のあれやこれやといろいろと話を聞かせていただいた。
お客さんは皆、友達。
なんともアットホームなビアホールなんである。
(こんな感じの素敵なビアホール。
雰囲気を壊す方はご遠慮ください)
が、中には招かざる客というのもいる。
「席、空いてますぅ~」
と語尾をのばしながら茶髪な感じの女子と軟弱そうな男が扉を開けた。
席はちょうど2席空いていた。
「この席ね、予約で埋まってるから」とおかさんは体よく追っ払った。
「あぁいうのはいいのいいの」
なるほどあぁいう若人は来ちゃダメなんですな。
店の雰囲気を壊す感じの方はご遠慮いただきたいということだ。
そんなわけでビールを5杯ほど飲んで、店を後にした。
なにせ下町ツアーは始まったばかり…
ここからが本番なんである