大井町沿線を巡る極上酒場の旅 その③ ~くさやの臭いと家庭風麻婆豆腐の味わい~ | B級グルメを愛してる!

大井町沿線を巡る極上酒場の旅 その③ ~くさやの臭いと家庭風麻婆豆腐の味わい~

大山酒場を後に鰻串で有名な「村上」に行こうと思ったらすでに終了。

立ち飲みで有名な「肉のまえかわ」はあいかわず満席、

というわけで、それにかわる強力な店を探さねば…としばらくふらふらしていると

JR線沿いにいい感じに朽ちている店を発見した。

しかし、ちょっと微妙な感じがする。

おばさんがやってる小料理屋風情な店だけに当たりハズレが大きそうなのである。

ま、ハズレだったらさっと切り上げればいいか、ということで、突入してみることに。


と、不可思議な臭いが店内に漂っている…

この強力な異臭はなんだ…

隣にいる小汚いオヤジから発せられる異臭か、と初めは思った。

とんでもない臭いを発しているオヤジはたまにいる。

ちょっとヤバイ店来ちゃったかな、と思いながら席に着く。

ビールを頼む。

ふー、と一息つく。

ようやく落ち着いた。

で、件の臭いについて考えてみると隣のオヤジの臭いでなはないことに気づく。

となれば、考えることはただひとつ。

くさやだ。

それも相当に強力なやつである。

あまりに強烈なので、くさやだとは思えないくらいほどであった。


店は昭和初期生まれな感じのおかあさんとその娘さんと思わしき女性の二人で切り盛りしている。

家庭的なムードが漂っているがなかなか風情のある店構えである。




料理を作るのはもっぱら娘さんで、お母さんは常連客の相手をしている。

お母さんと話をしてみるとなんとこの店は大井町界隈でも最も古い店であるということが判明した。

「うちは大山酒場さんができる1年前からやってるからね。

そうね、戦後すぐでこのあたりにまだ何もない頃にここでお店始めたの。

昭和23年だったかしらね」


何の気ナシに入った店が大井町きっての最古参飲み屋とはおどろいた。

こりゃ、当たりである。

なんっつうか、町の歴史なんかに耳を傾けながら酒を飲むってのはオツなもんなんである。

実はこの辺りには20年くらい前に1年ほど住んでいたことがあって、

そんな話なんかでもちょっと盛り上がったりなんかした。

おすすめの料理を聞くと「彼女が作る麻婆豆腐は絶品よ」とおかあさんが言うので早速注文。

この手の店で麻婆もどうかと思ったが、これがまたなんともいえぬ家庭的な味なんである。



(家庭的な味の麻婆豆腐)


さきほどのくさやの臭いもこの雰囲気の中なら許せる。

料理の一品一品に手作り感がひしひしとあらわれており、

強者な酒屋が並ぶ東小路にあって、なんてもホッとする元祖な店なのである。


(鰯明太子もおかあさんテイストです)


そんなわけで、今日のツアーの三軒目は意外なところでの元祖店との出会いがあった。

この温かい気持ちを抱いてどこへ行こうか…