仲代達也の住む「ばかやろぅ」居酒屋 ~吾妻橋・「右はわくい亭」の名物オヤジ~
そんなわけで、まだまだ続く下町極上居酒屋ツアー。
ひたすら更新時期があいていたが、なにをしていたのかというとずーーと飲んでいたのである。
世の中には訪れなければならない場所が多く、1日1日が勝負なのである by B級グルマン
というわで、今回は最近何かとお世話になっている吾妻橋のわくい亭の話である。
居酒屋通の間では超有名店で、交差点を挟んだ向こうにはもう一軒、「わかば」という居酒屋もあり、
どちらの店に行くかで酒飲みを悩ませる場所なのである。
「春日通、右に曲がるとわくい亭、左に曲がるともつ焼きわかば」と交差点に看板が掛かっているくらいなのである。
で、右曲がりな私としてはやっぱり右に曲がって「わくい亭」にいくわけだが、左曲がりなかたは「わかば」へとどうぞ。
なぜ、わくい亭が酒飲みの間でもてはやされているかというと料理がうまいから、というのももちろんだが、
店に巣くう名物オヤジがいるからに他ならないと思う。
とにかく強烈なオヤジなのである。
私の友人が言うには「仲代達也がバカヤロウと言い続けている店」らしい。
仲代達也似のオヤジとはもちろん、この店の主人だが、オヤジ自身はなにもしない。
ただひたすらに酒を飲んでいるだけである。
料理はオヤジの奥様がせっせと作る。
奥様は料理研究家として本を出版 しているほどの料理名人で、
「わくい亭」を根本的に支えているお方である。
せっせと料理を作る女将さん、客の宴席に混じりただひたすらに酒を飲み続け「バカヤロウ」を連発するオヤジ。
実に素敵な光景である。
私なんかはそれだけでジーンとしてしまう。
仲代風バカヤロウオヤジにおいしい料理を作り続ける女将さん…
(ちなみに女将さんはとてもお若く、オヤジとのアンバランスさも謎の一つである)
素晴らしいじゃないか酒飲みどもよ、と私なんぞは思わず拳を握ってしまうほどである。
ちなみにどんな料理があるか一部を紹介しよう。
これは「わくい亭」名物のメンチカツ。
とにかくデカイんだが中はジューシーでバクバクといける一品だ。
一人で訪れた際に注文すると腹一杯になるので注意したい。
で、私が大のお気に入りがこちら
岩もずくである。
こいつがハードな感触で実に美味。
冷酒がすすむすすむ
でもって、夏は岩がきね。
あー極楽極楽ってもんですよ。
と、悦に浸っていたらやはりオヤジがやってきた。
「おぅ、飲んでるかー」と酒瓶片手にぶらーりと現れる。
が、下町気質にあふれるオヤジには風体的な怖さよりもにじみ出る愛嬌の方が勝る。
オヤジの登場で場が一気に和むのである。
和んではいるんだが、オヤジはことあるごとに「バカヤロウ」「コノヤロウ」を連発する。
ここまでくるとほとんど挨拶だか前置詞だかのような使い回しである。
そしてゴクゴクと酒を飲む。
こちらも負けじと酒を飲む。
店の公式な閉店時間は22:00なのだが、こうなるとそんなこたぁーおかまいなしである。
オヤジが酔いつぶれるまで店は続く。
ある時などは、0:00すぎに前を通ったら明かりがついていたので、
のぞいてみたらオヤジがかなり出来上がっていて、そのまま3:00過ぎまで飲んだ、なんてこともある。
つまりは、自分がうまい酒飲んでうまいつまみを食いたいがために料理上手な奥様に店をやらせている、
という気がしてくるほどだ。
ま、客も「バカヤロウ」「コノヤロウ」と言われるのが楽しくて飲んでいるわけであるから、
この店の最大の酒のつまみは仲代達也なオヤジ、ということになる。
うまい酒や料理を味あうのもいいが、この店に来たならばオヤジという最高のつまみを味あわなければ
右に曲がった意味がないというものだ。
●「わくい亭」
墨田区本所3-22-12
電話:03-3829-3751
営業時間:17:30 - 22:00
定休日:日曜、祝日