北陸・みちのく旅情編④ 横手焼きそばのモツに? ~神谷やきそばの元祖味~
そんなわけで、新潟を抜け山形を駆け上り秋田に到着。
秋田料理に舌鼓を打つ前に地方名物・横手焼きそばを食べに行ってみる。
ちょいと調べたところによると横手焼きそばの醍醐味はモツにある、とのことだった。
モツね…肉の代わりにモツ。モツの濃厚な味が焼きそばとどうマッチするのかに期待していざ出陣した。
情報によると学生に人気のモツ大盛り焼きそばだとかオリジナルホルモン焼きそばを売りにする店とかB級テイスト漂う店は幾つもあった…が、何はともあれ元祖を知らなければ話にならん、ということで横手焼きそばの元祖を名乗る「元祖神谷焼きそば屋」へ向かうことにした。
私はことのほか元祖が好きなのである。
ちなみに横手焼きそば、神谷焼きそばのご主人が昭和28年に作り上げたということだ。
(横手焼きそば暖簾会の暖簾は街中で目に付く)
歴史を感じさせない小綺麗な店は最近改築したのだろうか、ちと残念。
メニューを見ると普通の焼きそば、肉焼きそば、そしてモツ焼きそばとあった。
ここはもちろんモツ焼きそばをいただいてみることにする。
店は近代的だが作り手はおやじさんとおばばさんがよっこらしょ、という感じでやっている。
で、でてきたのがこちら。
(存在感のある目玉焼きが特徴)
特徴は見ての通り、デーンと乗った目玉焼きだろう。
半熟気味で割ると黄身がにゅっと出てくるのが良いアクセントになっている。
麺は焼きそば界では一般的な蒸し麺ではなく茹で麺を使用。
縮れ麺ではなくストレート麺を使っているのも面白い。
さらに焼きそばとしてはかなりの太麺、歯ごたえ・食べ応えとも十分である。
早速、一口食べてみる。
ソース焼きそばというにはかなりの薄味。
濃厚なソース焼きそばに慣れていた身としては、やや物足りないというか、別物と考えれば納得する。
麺には汁気があるのかしんなりとしており、ギトギトなソース濃厚麺に較べるとかなりヘルシーな感じだ。
そして問題のモツである。
モツはこじんまりとした各種部位がちょこちょこと入っている。
味付けは焼きそばからしてみるとやや濃い味か。
麺と一緒に食べるとモツの味が強すぎて、モツがメインでそばが添え物、という気がしてくる。
焼きモツのそば添えってな感じだ。
焼きそばをメインで考えるとモツとの相性は正直にいって良いとは言えないような気がする。
となるとどうしてもおつまみの感じがしてしまうんですね。
ビールでも飲みながらちびちびモツ焼きそばを食べたらちょっと幸せかもしれない。
オツマミ系焼きそば、そんな称号を与えたいのだがどうでしょう?
横手焼きそばは神谷焼きそばから始まり現在では50軒以上の店がある。
地元の人間的には素朴な味の元祖物よりも創意工夫がガンガンと取り入れられているニューウェーブ系の方が人気があるに違いない。
しかし、観光客が訪れるのは元祖なり。
おそらく当初より味は変わらないのであろうが、横手焼きそばの今を感じることはできない。
本来なら元祖食って、最近の流行店を食って、はじめて横手焼きそばについて何かがわかるのだろう。
が、なにせ旅の身。この後にはまだまだ美味いもんが控えているのである。
焼きそばだけでなく居酒屋系モツ焼きそばを売りにする店があっても面白そうです。
「あー、ビール飲みてぇ」と思いつつ、横手市を後に夜の秋田市へと向かうのであった…
●「元祖神谷焼きそば屋」
住所:秋田県横手市大屋新町字中野117-67
電話:0182-33-4316
営業時間:10:00~19:00
定休日:月曜日
北陸・みちのく旅情編③ 本場のきときとを食らう ~富山「氷見きときと寿司」と回転寿司のトレンド~
富山を後にし、一路新潟へと向かう。
とにかくこのあたりは旬のホタルイカがどこに行ってもうまい。
東京だとホタルイカなんてものはボイルされて縮こまった物体を酢みそかなんかに付けて食べるのが相場、だったりするが、こちら本場ではやはり刺身が気分。
ボイル前のホタルイカは結構デカイ。
「おぉ、こんなにデカかったの」と生ホタルイカを見て思わずつぶやいたほどだ。
で、意外なヒット作だったのがこちら。
(わたの濃厚な感じがたまらない)
ホタルイカの素干し。黒い部分はわただが、このわたが濃厚な味わいでなかなかいける。
酒のツマミにピッタリだ。
で、ご覧の通り、一つのサイズがデカイ。
ボイルされる前はこのくらいはあるわけだ。
で、次に向かうことにしたのは富山の魚が味わえる「氷見きときと寿司」。
最近、回転寿司関係の仕事が続いていたので、富山の名店といわれる同店に向かうことにした。
ちなみに回転寿司業界では石川県、富山県というのはかなり進んでいる県、とされている。
北陸最大の都市・金沢市などは人口1万人に対して回転寿司1店舗ある回転寿司激戦区。
氷見・能登などの漁港が近隣にあり、新鮮な魚介類が市場に豊富。
安くて美味くて+αがなければ人気店になれない、といった土地柄なのである。
このところ大手チェーンなども居酒屋系高級回転寿司の店を続々とオープンさせているが、
この両県には地元密着な居酒屋系回転寿司が多い。
回転寿司はそれこそ名前の通り、客の回転が命なのだが、居酒屋系は客の単価が高いのでツマミ類や酒が充実しているという寸法だ。
中でも「氷見きときと寿司」は新鮮な魚(きときととは新鮮という意味)を食べさせてくれるということで人気が高いと聞く。
氷見にある本店は土日にもなると客がひっきりなく訪れ、2重のレーン(上下に2重ではなく、内外に2重になっている)に廻っている皿は、握られたそばからなくなっていくという。注文するまでもなく握りたての皿が常時廻っている。しかも2重レーンなので多くの種類が廻っており、よりどりみどりという状況だ。
訪れたのは糸魚川支店。しかも平日の午後5時過ぎだったために客はまばら。(変える頃には満員でしたが)
あの活気が見られないのは残念だが、レーンには糸魚川産の地魚や氷見湾直送の白海老、のどぐろ、ホタルイカなどお馴染みの魚が流れているのはうれしい。
(白海老の軍艦。濃厚ねっちょりな味がオツ)
ちょっとここで、最近の回転寿司屋のトレンドについて触れてみたい。
1.居酒屋系回転寿司:寿司の他にも一品料理と酒類が充実している。
2.高級志向:立ち寿司と変わらないサービス(板前がいて握りたての寿司を出す。高級感のある店内)
3.産地直送:駿河湾直送、富山湾直送、三崎直送、銚子漁港とれたてなどピンポイントの場所に絞った魚を提供
4.マグロ問屋、寿司屋などが運営する本格的なネタを提供する店
5.異業種からの参入:永谷園、サンマルコ、松屋、JRなどが回転寿司業界に参入
6.低価格回転寿司チェーンが高級回転寿司屋を出店:がってん寿司、元気寿司、アトムボーイなど。
といったところが、店に関するトレンドだ。
一方、ネタ関係ではいまは三種盛りがブーム。
この店にも三種盛りメニューが豊富にある。
中からイカ三種、納豆三種、軍艦三種、マグロ三種をオーダーした。
1貫ずつ違ったネタが食べられてお得感がありありなのが人気の理由だろうか。
(変わり種の納豆三種。納豆好きにはたまらない。
まさに回転寿司ならではのネタ)
(女性が喜びそうな軍艦三種。値段もビックだ)
個人的には華やかなレーンであることが望ましいと思っている。
普通の寿司が普通に廻っているだけではちと寂しい。
見ているだけで楽しくなるような創作寿司系の充実こそが回転寿司の醍醐味ではないだろうか。
そういう意味では、このきときと寿司はまぁまぁといったところでしょうか。
珍しいネタ、三種盛りの華やかさは十分に合格点として、あともうすこしインパクトのある華やかな創作寿司系があれば素晴らしいですが。
そんなことを仕事チックに考えながら、北陸から新潟を抜け、いよいよみちのくへと突入。
土地土地をめぐるB級グルメの旅はまだまだ続くのであった。
●「氷見きときと寿司 糸魚川店」
住所:新潟県糸魚川市上刈3-14-14
電話:025-553-1351
営業時間:11:00~21:00
定休日:無休
北陸・みちのく旅情編② ドス黒スープはごちゃまぜで ~富山ブラック「大喜」~
金沢から能登半島を一周して、魚の宝庫・氷見港を通り、富山へと。
富山で待ち受けているのは、通称「富山ブラック」と言われるラーメンである。
知り合いの放送作家に北陸に行くと言ったら「富山ブラックは是非、食べた方がいい」とすすめられた。
「あれはね、忘れた頃に食べたくなる…そんな感じのモンなんだな」と言う。
富山ブラックとは何かと尋ねると「黒いスープのラーメン。食べてみればわかるよ」と言われた。
黒いスープのラーメン…醤油が濃厚なのか、はたまたイカスミでも入っているのか…
富山ブラックといういかにものB級センスなネーミングが妙に気になって、元祖富山ブラックを名乗る「大喜」という店を訪れることにした。
店は木の臭い漂う風格のある造り。
なんだかラーメン博物館が作り出したようなレトロ感が漂っている。
店の歴史を綴った写真や浮世絵やらが壁に飾られている。
店の奥には神棚がデーンと居座っている。
(昭和22年創業の風格のある店内)
メニューを見るとラーメンは富山ブラック特大・大・小の3種類。
このあともいろいろと各地グルメを食べ歩こうと思っていたので、小を注文した。
出来上がりを待っている間にテーブルに備え付けの「大喜ラーメンの食べ方」という小冊子を読んでみる。
それによるとこのラーメンは昭和22年に考案されたものらしい。
おかずのようなラーメンを客に食べさせたい、とのことで生まれたのが富山ブラックだ。
麺は固めのストレート太麺、スープは濃い口醤油味スープ、具は塩っ辛いメンマ、手切りのチャーシュー、秘伝の醤油ダレ、粗挽き黒コショウと書いてある。
で、これらを最初に混ぜることで味が渾然一体となって大喜の味が出来上がると書いてあった。
まさに三位一体攻撃だ。
果たして出てきたのがこのラーメン。
(これが元祖富山ブラックだ)
最初に三位一体にかき混ぜろ、とあったが、まずは生のスープをひとすすり。
おっ、見た目通り塩っ辛いかなと思ったが、それ程でもない。
が、確かにこのスープだけではラーメンのスープとしては不出来な印象だ。
味に深みがないのである。
次に指示通りにごちゃ混ぜにしてみた。
うむ、味が濃厚になりいい感じの塩加減になった。
粗挽きの黒コショウとそしてメンマの塩味がスープと混ざってまろやかささえ感じる味加減となった。
飲んでいるときには塩辛さはそれほど感じない。
おかずラーメン、というだけあって、麺やチャーシューは食べでがあるだけにこのスープが良いアクセントになっている。
メンマは単体で食べると塩抜きをしていないザーサイみたいにかなり塩辛いが、このメンマから出る塩がスープに深みを与えているような気がする。
他の人々がスープを残す中、迷わずスープを飲み干した。
スープ単体で考えると塩辛いかもしれないが最後まで麺と具を残してスープと共にいただけば結構、いけます。
確かにこれはラーメン二郎的なヤミツキ感があるやもしれぬ。
また富山を訪れた際にはきっと食べたくなるだろう。
三位一体こそが富山ブラックの本領発揮なのだろう。
富山ブラックという強烈なインパクトのある名前に負けない味であった。
これでまた地方のB級グルメを一つ制覇したぜ…
が、この後に強烈な喉の渇きを覚えることを今はまだ知らずにいたのであった…
●「大喜」
住所:富山県富山市太田口通り1-1-7
電話:076-423-0502
営業時間:11:00~21:00
定休日:水曜
北陸・みちのく旅情編① ~ついに幻の魚・ゲンゲを食らう~ 居酒屋「五郎八」~
長い間留守にしていてスミマセン。
ひたすら日本を彷徨っていました。
昨年のGWに特別企画として、四国・九州ドライブ旅情ツアーの記事を書いたが、今回はディスカバージャパンシリーズ第2弾、「北陸・みちのくドライブ旅情ツアー」を大々的に敢行してきたのだ。
GW前のこの時期、実に11日間にも及び、ひたすら走り回った。
まだ吹雪いている厳寒の雪山もあれば、荒波打ち付ける海岸線の高波にビビったり、冬期通行止めの道路を無理矢理走ったこともあった…ハラホロヒレハレ
というわけで、まずは最初に訪れた金沢の地でついに出会えた幻の魚についての話である。
その魚の名前はゲンゲという。
ゲンゲと聞いてすぐにわかる人は、かなりの食通か、北陸出身者か、あるいは相当のプロレス通ではないだろうか?
食通と北陸出身はわかるとして、なぜプロレス通がゲンゲという名前に思い当たるのかというと、村松友視氏の名著であり、プロレスファンのバイブルとして君臨していた「当然、プロレスの味方です」にゲンゲが出現したからである。
村松氏はプロレスとはゲンゲのようなものだと述べている。ゲンゲという深海魚の特徴がプロレスそのものであると。
その時、村松氏はゲンゲ鍋を食べていたという。
そしてヌメヌメとした寒天状の膜に覆われたそのみたこともない不気味な魚の姿にプロレスを重ね合わせたわけだ。
つまり、プロレスにも目に見えない膜のような物が覆い被さっており、世間からその本質を隠しているのだと。
うーむ、プロレスという物をこれほど的確な表現で表した言葉はないなと当時、熱狂的な新日本プロレスファンだった中学生の私は思ったものである。
それ以来、私の頭の中にはゲンゲという魚が住みつき、いつかはゲンゲを食べてみたい、そう思い続けて生きてきたのである。
東京でも加賀料理屋なんかに行く度、「ゲンゲありますか?」と必ず聞いていたのだが、「うちでは扱ってません」、「あるときはあるんですが、滅多に入らないですね」とまさに幻状態。
ゲンゲにお目に掛かるには金沢に行くしかない、と思いを強くしていたわけだ。
で、今回はまずゲンゲに会いに金沢へとひた走った。
地元で人気の高い郷土料理の居酒屋「五郎八」へと着いた足で向かった。
能登や氷見など富山湾の各港から揚がった新鮮な魚が並んでいる。
ホタルイカ、白海老、のどぐろなど地元の魚がずらずらとメニューに並ぶ。
もちろん、これらの魚は味わうとして、目はひたすらにゲンゲの文字を探す。
刺身のコーナーにゲンゲの文字はない。
ゲンゲは刺身では食べるもんじゃないらしい。
やはり村松氏も食べたゲンゲ鍋か、と思い、鍋のコーナーを探す。
ムム…ここにもゲンゲの文字はない。
ゲンゲは何処に、とメニューをくまなくなめまわすとなんと焼き物のコーナーにあるではないか。
おぉ、ゲンゲは焼き物でもいけるのか、と早速、注文した。
(やせ細り見る影もないゲンゲの姿)
で、出てきたのがこれです。
なんじゃこりゃ!一夜干しにでもしてあるのか水気がすっかりなくなっていてなんともやせ細ったお姿に。
これでは全体を覆い尽くすという寒天状の物体が見られないではないか、プロレスの真髄がわからないではないか、と大変、がっかりした。
しかもお店のお姉さんに「あー、そんなに焼いちゃダメ、さっと炙るくらいが美味しいのよ」と言われる始末。
「寒天状のヌルッとしたところが食べたいんですけど」と言ってみたが、「あれは冬でないと美味しくないのよね」とのこと。冬の魚だったんですね。がっくし。
しかし、こんなことで負けちゃいけないと翌日、金沢市民の台所とも言われる「近江町市場」へと足を運んだ。
なんとしても生ゲンゲを見てやろうという算段である。
近江市場は多数の魚卸問屋が所狭しとひしめき合っていた。
ここにならゲンゲは必ずいるはず、と思い、血眼に探すがゲンゲと書かれた札はない。
やはり冬の魚だけにいまの時期に水揚げはないのか、と思ったが、なんとも気になる奇妙な魚を発見した。
(ヌメヌメ感がなんともいえないゲンゲ様)
水魚という札が付いたその魚は薄ピンク色をした20センチほどの細長い魚で、表面をなんだかヌメヌメとした寒天質状の物体に覆われている。
もしかしたらこれがゲンゲなのか、と思い、店の人に聞いてみると「そうだよ」の一言。
おぉ、これがプロレスの本質か!と感動の対面をしたが、確かに見るに付け奇妙な魚だ。
ヌルヌルのヌメヌメ、なんだか字面だけを追うといやらしい。
これはやはり焼き何ぞではなく、このヌメヌメ感を味あわなければならないだろう。
神様、仏様、ゲンゲ様と唱え、今度冬に来るからなと再会を約束して彼の地を後にした。
これからの旅、さらなるB級グルメを求めて日本を駆け回ることになるが、まずは幸先の良い出だしを切ったといえるだろう。
次の富山には何が待っているのか…
●「五郎八」
住所:石川県金沢市片町2丁目6番12号
電話:076-222-5680
営業時間:17:30~23:20火曜~金曜
17:00~22:50 日曜、祝日
定休日:月曜
漁港の回転寿司屋は味で勝負!~那珂湊の回転寿司戦争~
前々から回転寿司バトルが熱い!と評判の茨城県那珂湊に行ってきた。
何が熱いかというと小さな漁港に別々の水産会社が経営する回転寿司屋が2軒あって、
そこが火花を散らしているというのだ。
しかも味も中々イケルとの話…ドライブがてらにちょいと行ってみることにした。
そんなわけで東京から2時間。
休日だというのに何の混雑もなく那珂湊に到着。
漁港は思っていたよりもずっと小さかった。
どれくらい小さいかというと伊豆の初島の食堂街くらい…ってわからんですね、
ま、かなり小ぶりな漁港ということだ。
目指したのは那珂湊お魚市場。
ここには例の2大水産会社が経営する市場と回転寿司屋が軒を並べている。
午後4時過ぎに行ったこともあり、市場は激安モードに突入していた。
とにかく安い。
たとえば、マグロの1/4ブロックを買うとブリの1/4ブロックがおまけで付いてくるとか。
これでたった1500円というのだからやってられない。
スーパー価格ならマグロ1/4だけで軽く5000円はいきそうだ。
そんだけデカイブロックなんですな。
(小さいながらも活気のある漁港なり)
他にもバケツ一杯のアサリやらハマグリが800円とかハタハタの干物10匹500円とか、
さすが漁港の安さ爆発!
こりゃ回転寿司もかなり期待できるんではないかと思い、まずはヤマサ水産経営の市場寿司へと赴いた。
回転寿司屋の雰囲気には微塵もヤル気配が感じられない。
回転寿司屋お得意の本日のお勧めの黒板書きもなければ、華やかな寿司が回っている様子もない。
できる回転寿司屋の要素がまるでないのである。
しかし、ここはとれたての魚を出せる漁港の回転寿司屋…
都内の回転寿司屋の常識が当てはまるとは限らない。
ともかく座って寿司に手を伸ばしてみることにした。
さて、ここで問題です。
回転寿司屋に行ってまず何の皿を食べるのがよいか?
皆さまはどうしていらっしゃいますか?
私はまずマグロを食べることにしている。
しかも一番安いマグロの皿。
回転寿司屋におけるマグロというのは店のバロメーターを計るのに最適なのではないかと思っている。
だいたいどの回転寿司屋もマグロの赤身は一番安い皿で出しているものだ。
それはマグロの安さこそが回転寿司屋の売りになるからに他ならない。
かって一皿100円のマグロを食すために渋谷の築地寿司に行列ができたようにいまだに回転寿司業界では安いマグロの力は絶大であったりする。
よって、このマグロが納得できる味でなければ、他のネタも推してはかるべき、といったところであろうか。
逆にマグロのうまい店は他のネタもいい感じの出来映えであることが多いわけだ。
さて、漁港のまぐろはいかなものか
さきほど市場で特大マグロを見ているだけに期待感はいやが上にも高まる。
回ってる皿を見る。
ネタはどれもかなり大ぶり。
なかなかのデカネタである。
デカネタが売りの都内の回転寿司屋よりも確実にどれもがデカイ。
厚みが違う感じだ。
さすが漁港だぜ、と思いつつ、口に運んでみる。
(旬の鰹と関サバ。かなりデカイネタながら210円の価格設定が泣かせる)
ムム…イケルんでないの。
マグロは合格点与えよう。
他のネタはどうか?
エンガワ(本物)は適度に脂がのっていて、回転寿司にありがちなエンガワのようなモノとは似て非なる(当たり前か)感じ。
いまの時期、旬のホウボウもかなりイケル。
ホウボウみたいなレアネタを食せるのも市場の魅力か。
(味噌汁を頼んだら、やたらとデカイホタテが入っていてビックリしました)
いわゆる創作寿司はなく、レーンの華やかさもないのだが、一皿の持つパワーが違う。
ただ単にうまいんだから何も手の込んだことをしなくてもいいではないか、という主張すら感じるくらいだ。
創作寿司や変わり種、炙りネタなどが豊富で見た目華やかな回転寿司屋と華やかさはないものの新鮮なネタだけで勝負!という寿司屋っぽい回転寿司屋のどちらが良いか、となると意見の分かれるところであろう。
が、繁華街には繁華街の、漁港には漁港の、郊外には郊外の回転寿司屋がそれぞれあるということだ。
回転寿司はアミューズメントパークである、を標榜する私だが、
廻っていることがありがたい、そんな回転寿司の原点に戻った次第です。
あ、森田水産の回転寿司もちょろりと行きました。
こちらは小ぶりなネタですが、上品な感じがする、ある意味、漁港らしくない感じ。
ここは市場寿司に一票。
●「市場寿司」
住所:茨城県ひたちなか市湊本町21-13
電話:029-263-1137
営業時間:10:00~20:00
休日:元日、不定休
「回転寿司 森田1号店」
住所:茨城県ひたちなか市湊本町21-7
電話:029-263-4801
営業時間:平日 6:00~17:30 頃
土日祭 6:00~18:00 頃
定休日:毎月第3木曜日
老舗洋食屋のビーフカツ ~人形町「洋食キラク」の激安ビーフカツ~
カツといえばとんかつである、とずっと思いこんでいた時期がある。
なので、世の中にビーフカツなるものがあると知ったときは
「そんな贅沢なモノがあるのか」と真剣に思ったものだ。
いまから20年近く前になる。
で、早速食べに行こうと思い調べてみるとこれがべらぼうに高い。
たとえば、根岸の老舗洋食屋「香味屋 」だとなんと4800円、ポークカツが2300円(平成18年現在)だからほぼ倍の値段…
当時、大学生だった私にはとてもじゃないけど手が出せない特上の食べ物であった。
「さすがに牛は高い。これじゃサーロインステーキを食べるのと変わらないじゃないか…しかし、じゃなぜステーキにしないであえて衣をまぶしてカツレツ状にするのか…うーむ、謎だ」と悩んだのを思い出す。にさすが、と唸ったことを思い出す。
しかも、ビーフカツなるものはそんじょそこらの洋食屋ではお目にかかれない代物だけにやはり高い金を出さなければ食べられないだけに謎は謎のままであったが、人形町の洋食屋に激安のビーフカツがあると聞いて勇んで出掛けてみた。
その店は「キラク」という洋食屋であった。
カウンターだけの小さな店で老夫婦がカウンター内でせわしなく働いていた。
おやじさんが黙々とカツを揚げる姿に痛く感動した覚えがある。
初めて食べたビーフカツはトンカツよりも肉の食べ応えがしっかりとしているなぁ、という印象があった。
ジューシーさという点ではトンカツに分があるが、ビーフカツの噛むたびにほのかに溢れ出る肉汁
煉瓦亭、香味屋のようなハイカラな雰囲気は微塵もないが、昭和の香りが漂う、人情味溢れる洋食屋だ。
それから思い出したときなどふらり訪ねるようにしていたが、ここ1年近く行っていなかった。
で、先日久しぶりにあの味が懐かしくなって訪ねてみた。
(しっかりとした衣と薄めの肉の相性も良い。これで1550円)
1時30分を回っていたため、行列もなくすぐに店に入れた。
カウンターに目を移す。
おかあさんが黙々と肉に包丁に切れ込みを入れている。
裏と表の両方に丁寧に何本もの切れ込みを入れる。
この作業が肉の噛みごたえを際だたせている。
が、オヤジさんの姿はない。
おそらく娘婿さんらしき方が揚げていた。
「オヤジさんもついに引退したか…」と思い、初めてオヤジさん以外が揚げたカツに口を付けてみた。
薄く切られた肉はおかあさんの地道な作業の成果がしっかりと出ている。
おかあさんに怒られながら肉を揚げる婿さん(?)の姿もなかなか良い。
ビーフカツを食べる度にいつも思う。
トンカツよりもありがたい気がするのはなぜだろう?
衣から覗く赤身肉の色合いがいいのだろうか?
うむうむ、やはりビーフカツは衣と肉の一体感が良いな、
肉汁を衣が閉じこめるのでやはりこれはステーキでは味わえない感覚だな、
そんなことを考えながら、もぐもぐと肉を噛みしめた。
帰ってからネットで調べたら、おやじさんは去年、お亡くなりになっていた。
それでもあの味が1550円という低価格で提供されていることに心から感謝した。
●「洋食キラク」
東京都中央区日本橋人形町2-6-6
電話:03-3666-6555
営業時間:11:00~15:00、17:00~20:15
定休日:日曜、第2・3月曜(祝日の場合は営業)
台湾の強烈料理!その名もズバリな臭豆腐とは?
台湾料理と中華料理の違いは何か?
私の中では台湾料理は中華料理の1ジャンル、と思っている。
北京や四川、広東料理など中華も地域によってさまざまな特徴があるように台湾もその中の一つと。
そういえば初めて台湾料理に出会ったのはいまから20年も前になるだろうか、
渋谷にあった台南担仔麺 という店でその感動に出会ったわけだ。
なんといっても一皿の量が少なくて非常に安い、というのが魅力であった。
これならいろいろなものが食べられて、しかも安くすむ。
一皿、300円くらいからあって紹興酒のボトルも1000円台だったと思う。
ガヤガヤとした猥雑な店内と中国語が飛び交うアジアな雰囲気に痛く感動したモノだ。
で、ついに台湾に訪れる日が来た。
またもや友人Tと共に台湾に住む知人を訪ねたのである。
その時にとんでもない料理に出会った。
その名も「臭豆腐」。
文字通りすんごい臭いをした豆腐である。
これが台湾では屋台で売られていて、皆、スナック感覚でパクリと食べているのである。
(臭豆腐の文字が燦然と輝く屋台)
台湾のクサヤ、いやクサヤ以上かもしれない。
「これ食っていいの?」くらいの勢いのオイニーです。
台湾の深坑というところの名物料理で、 豆腐を醗酵させてクサくして、それを油でカラリと揚げるのだが、その時が最も臭う瞬間、なのである。
これが台湾の匂いってやつなのだろうか。
僕は大豆好きなのでまぁ食べられたが、
「半径10メートル以内に近寄りたくない」という人もかなり多いのではないかと思う。というか、人間の食いもんじゃねぇと
怒り出す人も多いことではないだろうか。
実際、日本人の観光客なんかは屋台のそばに来ると逃げるように走り去っていく人も多々見られた。
友人Tはこいつが好物で、屋台で見掛ける度に食べていた。
私もこの手のモノはキライではないので、かぶりついた。
味は…そうだなぁ…食べてみるとそう臭くはないがやはり発酵菌の濃厚な味がする。
手軽に食べるもの、というよりは紹興酒のつまみなんかにしたらイケル感じだと思う。
が、台湾の小粋なLADYたちはこの臭豆腐をちょっと小腹が空いたときにパクリと食べている。
デート中のカップルも二人でパクリ。
臭いなんか気にしない、愛さえあれば…ってなことなのか。
うーむ、やるな…台湾カップルよ。
そもそも臭豆腐屋台には「香豆腐」なんて書かれている。
素敵な香りのする豆腐らしい…
なんて美的センスなんだ!
友人T曰く、「この臭いがクセになるんだ。日本でも食べたいけどさすがにねぇよな」とすっかりハマってしまったようだ。
(見た目は厚揚げの串焼き風だが臭いが…)
大根モチやら肉粽やら空芯菜炒め(これがウマイんだな)をイメージしていた私にはあまりにも強烈な料理だった。
日本じゃ…この強烈な味は出せんだろうなぁ…
友人Tはこの後、臭豆腐が恋しくなり再び台湾に向かうのだが、それはまた別のお話。
メキシコのタコス道② 怒濤のモツタコス編
そんなわけで夜が来た。
昼同様、またもダウンタウンへと繰り出す。
お目当てのタコス屋はメインストリートよりだいぶ外れたところにぽつんとあった。
あたりは真っ暗だがその店だけやけに明るい。
ファーストフード店のように小綺麗で明るい店内である。
モツ焼き屋台のような店を想像していたので、ちょいとはぐらかされた感じだ。
テーブル席には着かず、調理の様子が見えるカウンターに座る。
調理場にはモツを炒めるための丸い独特の調理器が置かれている。
周囲ではさまざまな部位が煮込まれ、中央の鉄板で仕上げに炒める、という構造のようだ。
(さまざまな部位が煮込まれている)
おー、あるわあるわ、確かにこりゃ見慣れたモツ様である。
トリッパ、舌、ハチノス、腸…いい感じに煮込まれている。
焼酎や冷酒で一杯やったらさずかし泣けてくるんだろうなぁという思いが頭をかすめたが、なにせここはメキシコ。
飲み物といえば、ライム入りのメキシカンビアの数々…ネグロモデロ、テカテ、XX、SOLにフローズンマルガリータ、そして気合いの入ったテキーラといったところが定番。
それもまた人生。
友人Tは「これ全部、食べるでしょ?」と鍋の中身を指した。タコスひとつひとつは小さいので、大人二人なら問題ないだろう。
陽気なメキシカン・コックはリズミカルにタコスを作っていく。
まずトルティージャを鉄板の上で軽く炒める。
次に具を取り出して炒める。
しかるに寿司を握るかのように具をトルティージャの上に乗せて形作る。
仕上げに刻んだ野菜を振りかける、といった具合だ。
(モツの各部位が詰まったタコスたち)
友人T曰く「タコスってのは日本の寿司みたいなもんなんじゃない。タコス作ってる姿とかさ、寿司握ってるのと一緒だしさ」
なるほど、確かに仕上げ下に形を整えるところなんかは寿司握ってるのと似てなくもない。
刺身の代わりにモツの各部位が乗っている、といった感じだ。
肝心の味はどうか?
まずはトリッパあたりからいってみることにする。
うむ、こりゃモツです、モツ。普通のモツ焼き。
ホクホクのモツですな。
ハラペーニョソースを塗ればこそ、タコステイストになるが、このまま食べているぶんにはモツの包み焼き、を食べている感覚に襲われる。
GOOD!
日本で食べるタコスというのはどうも上品すぎていかん。
丁寧に切り刻まれた肉や野菜たちではこの野生の味を醸し出すことはできまい。
「タコス、タコス、タコス…」そうつぶやく友人Tはなにか思いに耽っているようだった。
我々はタコスの本質に少しは迫ることが出来たのであろうか?
タコスにネグロモデロにフローズンマルガリータ…
陽気なメキシカンと共に陽気に食べることこそが、タコスの真髄、なのかもしれない。
アミーゴ、アディーオス。
おそらくれからタコスを思い出すのは、メキシコ料理を食べたときよりもモツを食べたときではないかと思う今日この頃です。
●「TACOS RIGO」
電話:884-0638
(「TACOS RIGO」にて。後ろのコックたちも陽気です)
.
メキシコのタコス道① 大行列の庶民派タコス編
メキシコに行ってきた。
VIVA!メヒコ、アミーゴ、アディーオス、ってなもんである。
でもって、タコスをひたすら食べてきた。
タコス…自慢じゃないが私はタコスなるものをZEST 以外で食したことがない。
よってタコスはビールのツマミ、あるいはメキシコのファーストフードくらいにしか思っていなかったが、メキシコでは立派な主食だ。
朝タコス、昼タコス、夜タコス。
ホントに彼らは朝から晩までタコスを食べている。
アメリカンだって毎食、ハンバーガーは食べていないだろうし、コリアンだってキムチばっかり食べていない…いや、彼らは食べてるかもしれないな…なにせ朝からキムチを食べる民族だし。
ちなみにそれほどタコスに造詣の深くない私の思うタコスとは、
トルティーヤに具を入れて巻いて食べる。
具はビーフ、チキンをメインにトマト、オニオン、レタスなどスライスした野菜などなど。
それにハラペーニョやらソースを塗って、巻いて食べる。
サンチュに焼肉を巻いて食べる、あるいは北京ダッグを皮に巻いて食べるのに似ている…
がしかし、焼肉、北京ダッグとは違ってメインディッシュとしてはイマイチな食べ物、といったところだ。
果たして朝昼晩と3食食べても飽きないほど、タコスにはバリエーションがあるのか?
そして美味なものなのか?
真のタコスとは何ぞや?という命題を探るべく、メキシコへと赴いたわけだ。
成田-L.A-カンクンという15時間に渡る飛行機の旅の末、無事、メヒコに到着。
待ち受けていたのはギターを弾き、歌を奏でるマリアッチ…ではなく。
最近、芸能界のB級グルメ王ともっぱらの評判の友人Tであった。
「アミーゴ、灼熱の太陽とタコスが待ってるぜ」の言葉に乗せられてはるばるカンクンまで来てしまった私…
友人Tは一足先にタコス道を極めるべく、やってきていたのだ。
「いいタコス屋、見つけたよ。ダウンタウンに行列の出来るタコス屋があったのさ」
友人Tは一体をくまなく歩き、さまざまなタコス屋を見て回ったという。
で、見つけたのがカンクンリゾートからはちょいと離れたダウンタウン区域にある店であった。
「地元のメキシカンたちが行列を作ってるぜ。きっとウマイに違いない…」
時は週末の午前9時。
ダウンタウンの土産物屋などが並ぶ市場の中にその店はあるという。
市場は昨年、10月のハリケーンの影響で多くの店が損壊、閉店している。
うす暗い閑散とした廃墟の中をうねうねと歩いていくと突然、その店は出現した。
確かに大行列が出来ている。
他にも数店、タコス屋は存在しているが、この店だけが混んでいるのである。
「これこそがメキシカン・タコスさ。日本のタコスとは似ても似つかないもんだぜ。タコスの概念が変わること必死だぜい」とTは言う。(※ちなみに友人Tだが、実際にはこんな口調ではない)
どれどれ、店を覗いてみるとかなりデカイ容器に調理された肉が入っている。
(こんなデカイ容器に肉が盛られていた。これがあっという間になくなるのである)
バラ肉らしき物体がやわらかく煮られた感じで、どうもこいつのみをトルティーヤに挟んで食べるようだ。
確かに思い描いていたタコス像とは違う。
生っぽい。日本で食べたことのあるタコスに較べるとはるかに生っぽい感じがする。
チップス風のとうもろこしの皮に肉やら野菜やらをのせて食べる日本風タコスは、乾きモノの域を出ないが、こちら本場のタコスはほっかほっかの生タコスである。
で、友人Tが言うには「特別メニューがあるらしくて、レバが食えるんだ」とのことだ。
辞書なんかを見ながらカタコトのスパニッシュでレバを追加オーダーした。
レバね…なんか居酒屋の様相を呈してきた。
これが大衆派のタコスなのか?
リアルタコスとは酒のつまみ系なのか?
でてきたタコスはこんな感じ。
(トルティーヤにてんこ盛りに肉がのった庶民派タコス。横の黒い物体がレバー)
ご覧の通り、トルティーヤに肉がてんこ盛りだ。
レタスの細切りやら、トマトやら、オニオンやらの具はない。
肉のみ、実にシンプルなタコスである。トルティーヤにはほんのりと味付けがされているようだ。
まずは何も付けずに食べてみる。
ふむ、見た目通り、肉はホクホクでジューシー。焼酎で一杯やりながら食ったらウマイだろうなと思いつつ、食す。
日本のタコスとは似て非なるモノ、といわざるをえないだろう。
次に唐辛子のチレソースを付けてパクリ。
うむ、ようやくタコスらしい味わいになってきた。
そして、最後に激辛ハラペーニョソースを付けてみる。
周囲のメキシカンたちから「ベリベリHOT」と掛け声が飛ぶ。
こりゃ辛い~
皆、コーラをがぶがぶ飲みながらを片手にタコスを食べていた。
味付きトルティーヤ、ホクホク肉、激辛ハラペーニョソース、コーラ、これが本場タコスの4点セットなのかもしれない。
ほとんどのメキシカンは3~4枚、中には5枚も一人でパク付いている強者もいた。
私ももう1枚チャレンジしようかと思ったが、満腹感よりも何より踏みとどまらせる大きな問題があった。
味のバリエーションがない、というか味に飽きてしまうのである。
確かに2種類のソースはある。
しかし、激辛ハラペーニョソースを塗ってしまうとなにもかもがハラペーニョテイストと化してしまうのだ。
これはキツイ。
友人Tは数日前よりタコス漬けで、やはりタコスに飽きてきたと言っている。
おそらく肉だけを酒のつまみで食ってる分には飽きないのだろうが…
そんなことを考えていると友人Tがさらなるレアなタコスがあることを教えてくれた。
「ダンナ、もっとレアなナタコスがありますぜ。内臓たっぷりのモツタコス。これはレアでっせ、ヒヒヒヒ…」(何度も言うがTはこんな話し方はしない)
モツタコス…いったいどんな味わいなのか…
遠くメキシコの地で私の愛してやまないモツに出会えるとは感激だ。
つけあわせのレバーでその片鱗を見せたが、まだ見ぬ強豪に私の胸は震えた。
果たしてどんなタコスに出会えるのだろうか…
(タコス屋台でオーダーをする友人Tの図)
中国的猥雑感が心地よい ~蒲田「歓迎」のにぎやか中華~
中国のメシ時というのはどの店にも活気があって良い。
特に市場の店や露天などが最高だ。
入れ替わり立ち替わりお客が来ては、さっと食してさっと去っていく。
日本みたいに食後の一服、なんてまったり感はどこにもない。
慌ただしいながらもそれも一つの「味」とかしているところがなんとも良い。
安っぽい食器に盛られた料理がなんとも美味そうにみえる。
あれこそがチャイナ・マジックだと思うんだがどうだろう?
そんな中国的猥雑感を体感できる店が、蒲田にある。
「歓迎」と書いてホワンヨンと読む。
看板には「中国大陸料理 餃子&喫茶」と書かれている。喫茶というのが異質な感じがするが、その実はとても素敵な中華料理屋だ。
中国的猥雑感を体感したいならば、土日の昼時に行くのがお勧めだ。
(平日のランチ時は、サラリーマンのみなさまの憩いの場と化しております。
しかも単品注文が出来ませんのであしからず)
客足が絶えず、次から次へとやってくる様も大陸の露天っぽくて良い。
軽く行列が出来ているときもあるが、回転は速く、それほど待たされることはない。
中には昼からビールを飲んで、くつろいでいる客もいるが、
ほとんどの客がさっと食べてさっと去っていくからだ。
店内は忙しく動き回る店員さんたち、かなり広い厨房で料理に腕を振るう料理人たち、
多くの人がめまぐるしく動いているが、誰にも無駄な動きというものがなく、見ていても大変、気持ちがよい。
席に着くとすぐに店員が飛んでくる。
「ナンニシマスカ?」
単菜(メニュー)は言わなければ持ってこない。
というのも、皆、メニューなど見なくてもオーダーを決めている客がほとんどだからである。
まずはなにはともあれ焼き餃子を頼みたい。
そして水餃子。それに飯モノか麺類を頼めば完璧だろう。
(羽根餃子はサクサク感が命)
焼き餃子はいわゆる羽根餃子といわれる小麦粉を溶いた水で焼き上げるタイプ。
餡の味は薄めで、皮は肉厚。されどサクサクしており、香りも良く次から次へと口の中にほおりこみたくなる。ピリリと効いたショウガも良い。
そして口の中で噛みしめたとき、ほのかに口の中に広がる肉汁…
これがたまらんです。餡のジューシーさがなんともいえんですな。
1人前、6個だが軽く2、3枚はいけそうだ。
(餡の味がたまらんポッテリ水餃子)
水餃子はやや皮がポッテリしている台湾風なお味。
モチっとした感触は中国本土風にはやや劣るが、餡との相性は抜群。
こちらの方が焼き餃子よりも餡の味が引き立っているような気がする。
もちろん、肉汁も健在だ。
1人前10個ほどあるが、こちらもパクパクといけるので、是非、焼きと水餃子の両方頼みたいところだ。
(野菜たっぷりで、さっぱり味の北京汁そば)
今日の気分は麺料理、ということで北京汁そばをオーダー。
こちらは野菜たっぷりで、スープもさっぱり。
これこそが大陸のそばの味だ、と思いながらスープを飲み干した。
もちろん、食後にお茶など飲むことなく、食べ終わったらさっと席を立つのがルール。
味にビックリ、そして会計の時のあまりの安さにビックリする素敵な中華料理屋である。
●「歓迎」
住所:東京都大田区蒲田5-13-26-101 大田区生活センター内1F
電話:03-3730-7811
営業時間:11:30~14:00 17:00~22:00
定休日:無休