B級グルメを愛してる! -7ページ目

刀削麺の醍醐味とは何か?五反田の「西安飯荘」にて思う

世に幻の麺があるとしたらそれは刀削麺である、

と聞いたのは何年前のことだろうか…

とにかく世にさまざまな麺料理はあるが、麺の奥義中の奥義を究めた麺こそが刀削麺である、と噂に聞いていた。

いや、噂と言ってもミスター味っ子とか美味しんぼかもしれないが。


とにかく、いつかはその刀で削る麺料理やらを食したいと心に思い描いていたわけだ。

練った麺の固まりを持って、短い刀のような包丁で、麺の皮膚をそぎ落とすように削っていく。

しかも離れたところから煮えたぎった寸胴めがけて麺を飛ばすように投げ入れるわけだ。

これは幻以外の何モンでもないだろう。

なぜ、そんなことをする必要があるのかとかそんなことはこの際どうでもいい。

とにかかくそんなことをする必要がある刀削麺というものにまだ見ぬ強豪を思い浮かべていたわけだ。


で、いまからもう10年以上前になるがシルクロードを訪れた際にウルムチという中国の辺境の地でついに刀削麺にお目にかかることになった。

一人前をオーダーしたのだが、出てきたのはカプリチョーザサイズの特盛り。

しかも味付けはシルクロード仕立てのトマト味とあっては、飽きる飽きる。

こりゃもう泣きながら食べるしかない、ってわけで、刀削麺=幻の麺という図式はそのときにもろくも崩れ去ったのでした。


時は流れて…

いまや東京でも刀削麺は普通に食べられるようになった。

そう言う意味では本当の幻なんてものは現地にしかない家庭料理的なモンなのかもしれないですな。

そんなわけで、久しぶりに刀削麺でも食べようかと思い、五反田の「西安飯荘」という店を訪れた。

どうも刀削麺というのは西安が本場のようなのか、ネットで調べてみるとやたら西安本場のという文字が目立った。

西安というと餃子、というイメージがあるのだが、今や日本では餃子ではなく刀削麺なのであろうか。

ともかく刀削麺食べるなら西安で、というわけでこの店を訪れることにした。


ランチ時と言うこともあって、刀削麺メインのランチが並ぶ。

いろいろある中から刀削麺の基本とも言うべき麻辣刀削麺をチョイス。

辛いスープに極太の刀削麺がよく絡むのでは、と思ったわけだ。



sian

(見た目辛そうだが、意外とまろやか麻辣刀削麺)


まず、スープをすすってみる。

うむ、パクチーがきいて中国の匂いがほのかに漂ってくる。

見た目ほど辛くもなく、日本風にアレンジされている、といった感じか。

そして噂の刀削麺をいただく。

刀削麺というとやはり離れたところから麺の固まりを持って、シャッシャッシャッと麺を削りながら鍋に入れていくパフォーマンスを見たいところだが、残念ながらこの店では見られない。

六本木の西安刀削麺 だと厨房がガラス張りになっているので見ることが出来るが、

どうもあそこは上品すぎるきらいがある。

中華はもっと粗野な…そう、なんか怪しい雰囲気がどこかにあって欲しいと思うわけだ。

そういう意味ではこの店の粗野加減は良い。

猥雑な雰囲気が感じられる。


そんなことを思いつつ、麺を口腔内に放り入れた。

おや?こんなコシがなかったけ?

見た目からもっとゴッツイ歯ごたえを予想していたのだが、麺はフニャにグニャの軟弱野郎だった…

あれー、お前こんなにフニャチン野郎だったか?

私は久しぶりに味わう刀削麺に問いただしたい気持ちになった。

名古屋の激固うどん、「山本屋」を少しは見習え、とも唱えた。

うーむ、これじゃ麺がメインというよりも麻辣スープがメインで麺は脇役、ってな感じがしてしまう。

これが幻と言われた麺料理の行く末なのか…

私は軽い絶望感に襲われながらも麺を食べ続けた。


刀で削られる麺は不揃いながらもそれぞれに個性があって良い、はずだった。

いやそれこそが刀削麺の醍醐味ともいえよう。

残念ながら…残念ながらとしかいいようがないのだが、その醍醐味を味わうことは出来なかった。

うーむ、どこかで美味な、いや刀削麺の醍醐味を味わえる店はないものだろうか?

やはりあのシュッシュがないと味わいも半減ということなのかもしれませんな


幻はまだ幻のまま、なのかもしれない

※川口探検隊の調査を求む


●西安飯店

東京都品川区西五反田2-10-8

電話:03-3492-9068

営業時間:11:30~15:00、17:30~23:00

定休日:日・祝




キミはペペちゃん餃子を知っているか! ~目黒・「ペペちゃん餃子」に合掌~

久しぶりに「ペペちゃん餃子」に行ってみようと思い、訪れてみたがなんと店は閉店していた…

やはりというかなんともがっかりというか…


「ペペちゃん餃子」という店名から察しのついたあなた、

青春ドラマ通ですね。

そうこの店は日テレ青春ドラマシリーズには欠かせない穂積ぺぺさんの店なのであった。

穂積ぺぺ…「飛び出せ!青春」では落ちこぼれ二人組の山本役として(ちなみに相方は柴田役の頭師佳考)、そして「われら青春」では、なんと「飛び出せ」でたった一人落第した設定でまたしても山本役で出演されていた。

カーリーヘアが小粋な兄さんペペって名前が何とも素敵な兄さん

青春ドラマブームが去った後は、時折2時間ドラマですぐに殺されてしまう役なんかで見掛ける程度だった。

ペペですよペペ、(ちなみにペペちゅう名前は子役時代に外国の子供に似ているからとのことで命名されたらしい)

あの顔と名前でずっと忘れられない人になっていたんですね、いつか。


で、その店を偶然発見したのは何年前のことだろうか…

かれこれ10年近いかもしれない。

とにかくその店を発見したときは驚いた。

ぺぺさんに驚いたわけではない、その店名にだ。

なにせこの時点ではまさか穂積ぺぺがやっている店だとは思わなかったからだ。

なんだよ、ペペちゃん餃子ってよ

チラと見ると誰もいない…客どころか店主もいない

ま、当時まだ若かりし私だったが、こんなへんてこな名前の店を見逃せるほど若くはなかった。

で、入ってみる。

「スミマセーン、やってますか?」

しばらくすると2階からもぞもぞと店主が降りてきた。

眠たげな感じ、ヨレヨレの服…

「あ、ゴメンネ、いま開店したばかりなんだ」と告げる男の顔を見てブッ飛んだ!

なんと穂積ぺぺ氏だったのである。

ペペさん……

私は思わず絶句した。

「あ、僕のこと知ってるの。まだ若いのにね」

知ってるなんてもんじゃないですよ、ダンナと言いかけたが思いとどまった。

青春シリーズ、大ファンなんですよ」とボゾッと告げた。


で、なんとはなしにぺぺさんと会話をしながら餃子とビール、ってことになった。

なんでもちょっと前にオープンしたばかりで、宣伝も何もしてないからまだあまり客が来ないんだよとボヤかれていたのを思い出す。

それもそのはず、場所は中目黒&目黒からはかなり離れた場所の裏通り。

付近には飲食店もなければ人通りもほとんどない。

私も裏道として使っていたくらいの細い裏道にあったので、知らなければ来ない店なのであった。


私はつい酔った勢いで「なぜ餃子屋、やられることにしたんですか?」と聞いてしまった。

するとペペ氏はこともなにげに「いやね、よく家とかパーティとかで餃子を作ってたんだけどね、れがすごぶる好評で、じゃやってみようかなって

やってみようかな…それでやってしまうところがなんとも凄いがご本人がみずから餃子を作って、調理までするというのも凄い。

あんたは梅宮辰夫ですか

タレントがオーナーの店は多々あるが、オーナーは顔を店に出すくらいで、みずから調理することなどない、はずだ。

味のコンセプトくらいは決めるのだろうけど実際に作ってくれるなんて店には滅多にお目にかかれない。

(かってはデビット伊東のラーメン屋「でび」。最近は河合我聞のラーメン屋でお目にかかれる)


で、周囲の人に評判だという餃子の味はというと、これがなかなか凝っていた。

いまでこそシソ餃子やキムチ餃子など珍しくも何ともないが、あの時代に変わり種餃子をやるとはなかなか。

イカの入ったイカス餃子なんてのもあったけ…

確かペペさんもビール飲みだして、青春ドラマの裏話、なんかを聞かせてくれたっけなぁ…

当時、出演者の女の子と恋に落ちる話があって、ホントに付き合いだしたとか、

石橋正次さんは20才を越えていたので、酒を飲ませてくれたとか、サッカーのシーンではほとんどぺぺさんが蹴っていたとか(経験者だったらしいです)…

青春ドラマファンにはたまらん話です。

それからたびたび訪れるようになったのだが、ここ2年くらいとんとご無沙汰していた。

というのも「いつか必ず、『飛び出せ青春』のクラス会、テレビか雑誌でやりましょう!」という話をしていて、それが実現してしまったからだ。

「テレビ青春白書」(東京ニュース通信社刊)という本で、片桐…じゃなかった剛たつひとさん、頭師佳考さん、石橋正次さんなんかを呼んでね。

なんか一仕事、やり遂げたみたいな感覚があって、それからご無沙汰していたのである。


そんなわけで、訪れてみたのだが、あたりは10年前同様、あいかわらず寂しい。

で、あるはずの場所に店がない。見逃そうにも他になにもないのだから見逃すはずもない。

通りを間違えたか、とも思ったがやはりない。

「さすがにこんなヘンピな場所では無理だったか…」とも思ったが、私の知る限りそこそこ常連もいたし、なかなかに賑わっていた。

では、ぺぺさんが本格的に役者復帰するのか、とも思ったが、そんな気配は微塵もない。

調べてみると2004年に閉店しており、その理由も楽天でネット販売を始めるので、もう店販しなくてもよいからとのことだった。

しかし、ネットでは月3万円くらいしか売れず、撤退させられたと聞く

なんとももはや、さすがペペ、というべきか…


風の噂で三軒茶屋で再オープンするとの話を聞いた。

それがホントならうれしいのだが…


ぺぺちゃん餃子は青春の思い出を彷彿させてくれる素敵な店だったのである。

合掌





DEEP阿佐ヶ谷の焼酎処で見た ~阿佐ヶ谷「かわ清」の薩摩魂~

阿佐ヶ谷という街にはB級グルメムードがプンプンと漂っている

線路沿いに続く飲み屋の数々…駅前こそ新しめの店が顔を出しているが、50メートルも歩くと看板のすすけた老舗がずらりと並んでいる。

近所に住んでいたら片っ端から訪れてみたくなること必死だ。


kawakiyo

(昼間はこんな感じでした)


でまぁ、つらつらと歩いていたらいい感じに年季の入った一軒の店を見つけた。

かわ清」という店だ。

店頭には「焼酎」とデカデカと書かれた提灯がぶる下がっている。

チラと店内を見てみるとばあさまが一人で店を切り盛りしているようだ。

客はいない。

きっと話し好きのばあさまに違いないと思い店に入ってみることにする。

案の定、ばあさまは早速、話しかけてきた。

「焼酎はどんなのが好きなの?」

「芋が多いですね…黄金千貫とかまろやかなんで好きですけど」

「じゃ、後でいいのがあるから」

とウキウキして言った。

どうもここは本格焼酎店のようだ。

なおもばあさんは語る。

「ここにある焼酎はね、私が実際に足で歩いて探してきたものばかりなのよ。もう30年くらいになるかしらねぇ」

ふむ、なるほど30年くらいは年季の入った煤け具合である。

カウンターの中には焼酎の入ったカメが4つ並んでいる。

ほほぉ、どおりでレアな銘柄が並んでますな。


つまみはばあさん自家製のお惣菜だ。

芥子蓮根、豆腐ようなど九州ライクな一品が並ぶ。

うーむ、手作りの味。

豆腐ようの塩辛さと焼酎が良く合うんだな、これが。

2杯目はカメに入った焼酎をいただいてみることにする。

文来道という銘柄の芋焼酎。

カメの匂いがほのかに漂い、いい感じにまろやかである。


20代の頃ならこの手の店に入店するのはドキドキものであったが、

最近は逆にワクワクしてならない。

「どんな素敵なことが待っていることやら…」

店主との会話も最高の肴になる。

ばあさまの焼酎へのこだわりは最高のもので

やっぱ焼酎は常圧でなくっちゃ」とか「このさつま白波は昔の作り方を再現したのよ。味が違うわよ」なんて素敵な話に酒もすすむ・


しばらくするとご老人が4~5人、入ってきた。

身なりもそこそこにキチッとしている。

同窓会かなんかの帰りなんだろう、と思いつつ、ばあさんの身の上話に耳を傾ける。

なんでも最近は病気がちで店を閉めることも多く、それが気がかりだという。

あと何年かしたら阿佐ヶ谷のDEEP飲み屋も減っていくんだろうな…などと黄昏れながら飲んでいるとどうも老人の一団の様子がおかしいことになっている。

みんなでグラスを持ち、黙祷している。

で、「死んでいった仲間たちに献杯」と発声された。

戦争に行かれた兵隊さんたちの会だったんですね。


でまぁ、話している内容が凄い。

どうも彼らは知覧の特攻隊の生き残りらしい。

リアル・ウインズ・オブ・ゴット

凄いところに来てしまった。

で、ばあさんも当然といった顔で彼らの話の中に加わる。

聞き耳を立てているとばあさんも知覧の近くに住んでいたらしい。

明日、出撃、という時に終戦になった」とか

生き残ったことが恥ずかしい」なんて声も聞こえてくる。

なんてDEEPなんだ…

さすが阿佐ヶ谷、恐るべし、である。

他の繁華街なんかでは味わえない魅力といえよう。


DEEPな街にはDEEPな店、そしてDEEPな会話がよく似合うぜ


●「かわ清」

東京都杉並区阿佐谷北2-4-1

電話:03-3338-1627

営業時間:18:00~23:00

定休日:土、日、祝日


モツ鍋はやはりごっつい食べ物です ~大森「博多屋」のコリコリ鍋~

モツ鍋がブームになったのは何年前だろうか…

ヘルシーだかなんだか知らないけどとにかくモツ鍋がブームだった時代があった。

ここ2年はジンギスカンだったが、そろそろジンギスカンもモツ鍋的転落人生を歩むことになるだろう。

なんまいだ


とうわけで、久しぶりにモツ鍋が食べたくなったので、モツ鍋探索へと出掛けてみた。

向かった先は大森にある元祖モツ鍋・居酒屋と掲げている「博多屋」。

都内に今も残るモツ鍋屋というと恵比寿の「蟻月」とか「黄金屋」なんかのデートにつかえるモツ鍋屋、みたいなコンセプトの店が人気のようだが、ここ博多屋はいわゆる居酒屋風のごっつりした店。

なかなかウマイ、という評判を聞きつけてやってきた。

軟弱なモツ鍋屋とはわけが違いそうだ。


居酒屋気分で一品料理を数品頼む。

馬刺し、レバ刺し、明太料理にコラーゲンたっぷりの豚足などなど。

いい感じにお酒が回り出したところで、いよいよモツ鍋へと挑んだ。

ここは店員がモツ鍋を作ってくれる。

まずモツが投下され、大量のキャベツが続く。

豆腐、山芋はオプションで。

今回は山芋にチャレンジしてみる。

キャベツがしんなりし出したら食べごろか。


では、評判の鍋にずいと箸を入れてみる。

鍋料理をみんなで食べるときなどはこの一番箸というのが大役である。

煮えたぎる鍋に一番箸を入れ、具をすくいだす。

うむ、今日の鍋はなかなかダシがいいな…」

独り言のようにつぶやきながら、したり顔でみなに目配せなんかをするのがなんとも心地よいのだ。


hakata

(モツとたっぷりキャベツがヘルシーだ)

で、ほぼ一年ぶりに食べたモツ鍋は、モツのコリコリ感を味わいながら

「そうだ、これだよ、ひたすらモツを噛みしめるのがモツ鍋だぜぃ」と納得なんかしたりして。

このモツのコリコリ感というのは独特のものがあって、

歯ごたえはあるんだけど、弾力もあって、プチッと弾ける感じ…ってのかなぁ…

私は貝類だとかミミガーだとか軟骨だとかコリコリ感のある食べ物を好んでいるが、

モツ鍋のモツのコリコリはひと味違う、ように感じている。

これが鍋でなくモツ焼きなんかの場合だとこうはコリコリしていない。

焼くより煮た方がコリコリするのはどういうわけか?

ES細胞同様、学術的な解明が待たれるところであろう。


しかしまぁ、モツ鍋をつついているとしみじみ「なぜこの鍋にスポットが当たったのか?」とふと思ってしまう。

確かに低カロリー食品として脚光を浴びる要素はあるのだが、ヘルシーだという切り口だけで間違ってスポットを浴びてしまった、といった感じだ。

ま、そう考えるとモツ鍋もジンギスカンもテーマは「ヘルシー」だったわけだ。

女性ウケするものがブームを作り、そして飽きられていく

女心と秋の空、女性は常に残酷なんざんすね。


出し汁が染みたコリコリのモツはやはりヘルシー食品などといったカテゴリーに含んでほしくない感じ。

ごっつりと味わいたいものである。



●元祖・モツ鍋居酒屋 「博多屋」

東京都品川区南大井3-34-6

電話:03-3768-0399
営業時間:17:00~24:00(月~金)
      17:00~22:00(土・日・祝)










チェーン店のフグを楽しんでみるの巻 ~「玄品ふぐ 大森の関」~

正月はしっかりとおせちも食べたし、雑煮も食った。

食生活的には正月を満喫したぜ!

というわけで、今度は冬を満喫すべく、フグでも食いに行こうかと思いたった。


私が物心ついた頃にはフグとは高級料理で、滅多にどころか庶民には手の届かない料理、

みたいなイメージがあった。

よって、恥ずかしい話だが、私はフグというものを長年、食べたことがなかった。

初めて食べたのは社会人になって、取材でフグ料理屋を訪れたときであった。

これがフグか…」

ありがたやありがたやと思いながらうすーいフグ刺を食べたことを思い出す。


で、いまから10数年前に大阪に行った時のことである。

どこかで昼飯でも食べようかと街を歩いているとフグ屋がやたらと目についた。

昼からフグなんて高級料理を食べられるわけねぇじゃねぇか」と悪態をつきながらショーケースを覗いてみるとあーらビックリの激安価格。

なに!フグ刺しやフグチリやらのついた定食が2000円だと!」

いくらランチといえど信じられない価格だった。

それも多くの店でそんなもんなのである。

当時、東京でそんな激安フグなどというものは考えられる術すらなかったのである。

「と、とにかく食ってみよう」

激安フグにおののきながらぽってりとしたフグを食べたのを昨日のように思い出す。

大阪ってところはなぜこうもフグが安いのか、とにかく大阪に行ったらフグを食わなきゃ損だ、くらいに思ったものである。

これが人生で二度目のフグとの出会いだった。


そして時は流れ…フグチェーン店の登場により、いまや東京でも激安フグを食べられる時代がやってきた。

今回訪れたのは昨年末にオープンしたばかりの「玄品ふぐ 大森の関」である。

この「玄品ふぐ 」がこのところ猛烈な勢いで増殖しているのである。

東京だけでも50店舗近くあるくらいだ。

冬はいいだろうが、夏はどうすんのよ、と心配になるくらい増殖している。

勢いってのは恐いモンです。


メニューはそれほど多くなくて、てっちり、てっさに唐揚げ、焼きふぐ、皮刺し、白子くらいなもんである。

売り切れだった白子と、焼きふぐ以外の全てのメニューを食してみることにする。

なにせ安いっすから。

てっちりが1人前1980円、てっさ(ふぐ刺し)が980円といった具合。


fugu

(これで1人前なら納得だが、2人前頼んでもこの皿で来るのが悲しい。

できれば大皿に盛って欲しいモンである)


確かにてっさの量は少ない。

でっかい皿にこれでもかと並べられた皿の柄が透けて見えるくらいの薄い刺身を大量に箸でつまんで食べるのが醍醐味、ではないかと思うが、980円では文句も言えないというもんであろう。

ちなみにここのてっさは肉厚です。


fugu2

(ここのてっちりは紙鍋で食べる。安全性の問題だろうか?)


しかし、こう居酒屋風な感じでフグを食べる風情ちゅうもんがなくていかんですな。

和民あたりでフグを食べているような感覚に襲われるんですな。

フグが気軽に食べられるようになったことを喜ぶべきか、

フグのありがたさがなくなったことを悲しむべきか、

それが問題ですが、ひれ酒はやっぱ美味です。

グビグビ(これだけでも相当、満足です)


●「玄品ふぐ 大森の関」

東京都大田区山王2-5-2

電話:03-6429-1129

営業時間:16:00~24:30

定休日:無休



ついに念願叶う!ハワイの寿司屋での出来事

そんなわけで、ハワイ道中が始まったわけですが、

私のB級グルメ道において前々からぜひ食べてみたい、と思っていたものがある。

それは日本人以外が握る寿司、である。

もっと詳しく言うならば、白人以外が握る寿司、できれば黒人の握る寿司が食べたい、と思っていた。

なにかこう黒い手の中で色とりどりのネタと白いシャリが握られていく姿は官能、ではないかと思っていたからである。

風の噂で新宿歌舞伎町の「野郎寿司」に黒人の板前がいる、と聞いたことがあり駆けつけたことがあったがガセだった、という苦い思い出がある。(ま、確かにあそこならいてもおかしくはないが…)


で、私が泊まっていたハワイ島のヒルトン・ワイコロアビレッジでその店と出会ったわけだ。

そこはレストラン、というにはほど遠い環境にある。

スタンドバー、と言った方がいいだろう。

スタンド寿司バー

ファーストフードの国、アメリカらしいといえよう。

ネタケースを見ると赤身らしいもの、白身らしいもの(こいつはAhiというハワイの鮪である。ハワイでは魚と言えば赤身はAhi、白身はMahi-Mahiなのである)、穴子らしきもの、海老らしき…いや海老は海老だなどこにいっても。

とまぁ、いったような陣容だ。

そしてすくっと立つネイティブなハワイアンの板前一人。


hawaii

(カメラを向けたらポーズを取ってくれた板さん)


いかにものハワイアン…

いい…」思わずつぶやいてしまった。実にいい感じだ。

わりと小柄な感じだが、腕まわりは太く、がっしりとしている。

この逞しい腕の中で繊細な寿司がどうにぎらていくのか…」

私の興味はその一点に絞られた。

寿司のような繊細な食物を外人、しかもパワー派の人間が握るとグチャグチャになるんではないか、
ネタに微妙な…いやこの発言は危険だ、やめておこう…

メニューを見ると手巻きと握りに分かれていた。

手巻きはお得意のアボガド、カッパ、Ahiなどが並ぶ

握りは盛り合わせの他に一品でも握ってくれるようだ。

巻物と握りがセットになった盛り合わせを注文した。


そして、板さんの握る姿をじっと凝視する。

まずネタを取る
然るにワサビを付ける
して、ご飯を握りながら米粒の量を整える
3手で形を整える。
ご飯をひっくりかえしてまた数手掛ける
むむむ、これはまさに本手8手握り
「やるな、ハワイアン」と思わず心の中でつぶやいてみる。

はっきしいって下手な回転寿司屋よりもきちんと握っている。

いや、真面目に握っているその姿勢が良いのである。


hawaii2

(ちゃんと寿司しているのである)

味はやはりシャリがどうしてもベチョベチョになってしまっているので

寿司には及ばないが、横文字のSUSHIとしてなら十分に合格点をあげたい。

それにしてもこんがりと見事に焼けた肌の中で握られる色とりどりのネタのコントラストは予想通り見事。

握り姿に官能しましたとさ







ハワイのアイスコーヒーはとっても薄味なのね ~ハワイB級グルメ道~

ども、このクソ忙しい年末の時期に2週間ほど、Hawaiiなんぞに行っておりました。

えー、実に優雅なもんです。

私らの子供の頃なんざ、ハワイなんてアップダウンクイズで優勝でもしない限り、

行けないところざんしたが(なにせ1$=360円時代ですから)

いまや手軽に家族旅行できたりする場所になっていますからね…

そんなわけで、今回の旅行では家族連れを避けるべく、

マウイ島とハワイ島へと


ホノルル到着、午前7時前…

マウイ島への乗り換えのため、しばしレストラン風のショップにて待つ。

で、頼んだのがこれトロピカルアイスティー


hawaii3

 (パッションフルーツ・グリーン・ティーと書かれているのがなんともシュールだ)

そのネーミングからなんだかハワイっぽい感じがしたので、

きっとフルーティーなアイスティーなのだろうと思いオーダーしたのだが、

これがとんだ食わせ物で、味がほとんどといっていいほどないんである。水を飲んでいるような薄さ…

デニーズとかで出している同名のアイスティーを期待していたのだが、

なんつぅーか、茶色の色水」と思えるようになってきた。

これはおかしいと思い、ビンの成分を見てみると

なんとGREENTEAという表記が…

ちなみにその後、どんな店に行ってもICETEAを頼むと概ね、コイツがでてきた。

ハワイではICETEAとはGREENTEAであるらしい。


しかしまぁ、慣れというのは不思議なもので、

飲み続けているとこの超薄味の液体がなんだか愛おしくなってくる。

最初はまさかこれがトロピカルアイスティのわけがない、と思い、

半ば意地で頼み続けていたのだが、そのうちに

うむうむ、これこそがハワイアンアイスティだよな。そうだこれこそがハワイだぜぃ

とか思うようになってしまった。

ハワイの熱い日差しに薄味の色水が良く映える…

ってなもんでしょうか。


これからどんなハワイアンB級グルメに出会うことが出来るのか?

まずはジャブを受けたというところですが…




新宿「さぼてん」の謎、ついに解明するの巻

私が長い間、疑問に思っていたことのひとつに「新宿さぼてん」というトンカツ屋の謎がある。

何が謎かというといろいろな場所で「新宿さぼてん」の店頭売り店(トンカツのみ販売でレストランはない)を見掛けるのだが、私は「新宿さぼてん」なる店のレストランを見たことがなかった

地方に出掛けたときも「新宿さぼてん」をデパチカやら商店街やらで見たことがある。

もしかしたら、地方の方々は「新宿のさぼてんちゅうトンカツ屋は、東京でもの凄い有名なとんかつ屋なんだろうな」と思っている人もいるかもしれない。

私は断言する。

「新宿さぼてん」を東京を代表するトンカツ屋、あるいは有名店だろうなと思っている皆さん、

そんなことはまったくありませんので。

そもそも、トンカツを定食で食べないで何がトンカツ屋なのか

それはトンカツ屋なのではなくてトンカツ惣菜屋ではないのか

銀座とか新宿とかを店の名前に付けると、なんとなく有名店っぽい感じがするのはなぜだ

などという疑問を長年、抱きながら生きてきわけだ。


で、ついこの間、「新宿さぼてん」のレストランがある、ということを初めて知った。

HPを見てみるとデリカ店8に対して、レストラン2くらいの割合であることを知った。

レストランは駅ビルやデパートなどで展開されている。

典型的な駅ビル型店舗、である。

味よりも見た目で勝負の店なのだろう。

ま、味に期待は出来そうもないということで、わざわざ行ってみよう!という気にはならなかったわけだが、昨日、連れがとんかつが食べたくなり、目黒の「とんき」に行ったらすでに終わっていて、

成城の「椿」まで行くべきかどうか悩んでいるときに「新宿さぼてん」の文字が飛び込んできて、

これもなにかの縁、と思い行ってみることにしたわけだ。


目黒の駅ビルにある「新宿さぼてん」は当然の如く、他の駅ビルにありがちなレストラン同様の店構えである。

ま、それは良い。

ショーケースを見るとイベリコ豚のメンチカツの文字が目につく。

イベリコ豚、というネーミングにはひかれるものがあるが、

他のメニューを見ると惣菜的発想の変わり種トンカツなんかが目につく。

和幸」っぽい…というか「和幸」と同系列じゃないの?というラインアップだ。

イベリコ豚のメンチとロースカツがセットになった黄金定食をオーダーしてみる。


saboten

(イベリコ豚のメンチカツとロースカツがセットになった黄金定食)


私の思い描くトンカツ像とは衣と肉が一体となり、噛んだ瞬間にジューシーなロースの肉汁が口の中にジワと広がる…というものだ。

ロースカツがパサパサであったりするともう、それはもうあーたねー、と言いたくなってしまう。

こう見えても私はトンカツ愛を貫き通した男であり、

成城の「椿」のトンカツを好きなときに食べたい!という思いだけで

「椿」のすぐ近くに住んだこともあるくらいだ。

いやー、あれは絶品です。

なので、「椿」への愛を貫き通すために他のトンカツ店というのには行かないようにしている。

箸でつまんだ瞬間に衣が肉から離れたり、パサパサの肉に遭遇したりなどがっかりするのが嫌なのね、きっと。


というわけで、「新宿さぼてん」の味については触れないことにする。

ま、それもまた人生、というところだろう。

ちなみになぜ「新宿さぼてん」なのかというと1966年に西新宿で営業始めたかららしい。

意外に古いんですね。

HPによるとこの店が初、というサービスがいくつかあって、

ゴマを自分で擦って、ソースと混ぜ合わせるサービスなんてのももしかしたらここが最初なのかも…

ご飯、味噌汁、キャベツ食べ放題はこの手の店では常識でゴンスが。

味的にはデリカ店での展開をお勧めします。あらあらかしこ。


たかがトンカツ、されどトンカツ。

「さぼてん」ではなく「新宿さぼてん」とすることで、なんとなくブランド感を出そうという嫌らしい作戦に「ムムム…」と思いながらもこれもトンカツなり、と思うのでありました。


●「新宿 さぼてん」目黒駅ヒルトップガーデン店

品川区上大崎2-16-9ヒルトップガーデングリーン館5F

電話:03-5739-1824

営業時間:11:00~23:00

HP:http://www.ghf.co.jp/index.htm


特大ポルチーニとたっぷり白トリュフはこりゃもうB級だ! ~青山「ラ・パタータ」の贅沢皿に酔う~

フレンチやイタリアンなどというものは大きな皿に申し訳なさそうにちょいと具材が並べられているものである。

などと書くと「いや、そんなことはないぞ」とか「そりゃ、フレンチに対する偏見だ!」とか息巻く輩もいらっしゃることだろう。

まぁ、その通りなのでここはサラッと流していただくとして、

とにかくフレンチとイタリアンなるものは1皿の量が少なく、幾つかの皿を味わうことで満腹になる方が幸せではないかと思っている。


が、時には美味いモンをたっぷりと食べたいという衝動に駆られるときがある。

ちまちました量じゃ満足しねぇんだ!オレはトリュフだけをたくさん食いてぇんだ~

なんてことを思われる方は少なくないことだろう。

山盛りのいくらを心おきなく食べたい、

松茸を飽きるほど食べたい、

キャビアの海で溺れてもみたい…

人間の欲とはかくなるものなである。


友人Tもご多分にもれず、かくなる欲望の持ち主である。

今回の欲望は珍品中の珍品、白トリュフをたんまりと味わいたい、であった。

友人Tは言う。

「TVで前に見たんだ。イタリアのアルバという場所で、白トリュフの祭りが開かれているのを。

そのときは世界中から人が集まって、山盛りの白トリュフに皆で舌鼓を打つんだ…

なんて幸せそうな光景か…それを体験してみたいとずっと思っていて、

ついにそれができる店を見つけたんだ」


白トリュフ…黒トリュフよりも3倍以上も高価だという珍品中の珍品。

その香りは媚薬を思わせるほど人を虜にさせる力を持っているという

それが存分にいただける…

こりゃなにをしてもいかねばなるまい、ということで青山の老舗イタリアン「ラ・パタータ」へと向かったわけである。


まず、白トリュフに到達する前にド肝を抜かれることになる。

店のシェフが特大のポルチーニ茸を我々の前にかざしたのである。



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(特大のポルチーニ茸。コルクの大きさと比べて欲しい)


うーむ、デカイ…

こりゃ存分に食べでがありそうだ。

焼きとソテーでいただくことにする。


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(ステーキのような厚さと大きさだ)


なんという歯ごたえ、なんという味わい

このステーキにかぶりつくとジューシーなキノコ汁が口の中に広がって、なんともいえないふくよかな気分になる。

いやー、満足満足、じゃ、これで帰りましょう…って、これで帰ってもいいくらい満足であったりする。


が、まだ白トリュフ様が我々を待ち受けている。

三重産のカキにかぶりつきながらその機会を待つ。

そして…


そして、ついに白トリュフたっぷりのパスタの登場となった。

まずパスタの皿が目の前に置かれる。

そして、シェフが得意満面に白トリュフ様をこれでもかというくらい、パスタの上に振りかけていく。

漂ってくる強烈な香り

なんだろうな…思わずうっとりしてしまうクラッシックに耳を傾けている気分、というか、絵画の中に描かれた風景に心奪われてしまった、というか、なんかそのような気分にさせられるほど芳醇な香りなんだすな。



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(白トリュフがたっぷりかかった贅沢パスタ)



いやぁね、トリュフを満喫できる幸せ、それもこの時期だからこそ味わえる白トリュフというのは格別なものがある。

上流階級はこの強烈な香りを発する白トリュフをほんの少々、振りかけるからこそ味わいが深いのだというのかもしれない。

でもね、あーた。やっぱりこれでもかというほど味わいたいと思うのが人情というものでっせ。

やっぱり、規格外の料理はB級なんざんす。


私は和食こそが世界最強料理と信じて疑わないが、その大きな理由として四季が味わえる、というものがある。

イタリアンにも和食に負けない四季があるのだなと実感した次第です、ハイ。



●「ラ・パタータ」

渋谷区神宮前2-9-11

電話:03-3403-9664

営業時間:12:00~14:00、18:00~(L.O.22:30)

定休日:月

生が美味い、素材で勝負の焼肉屋 ~浜松町「くにもと」のパラダイス~

うまい焼き肉屋の定義とは何か?

焼肉好きを自認する諸氏の間で、さまざまな説が飛び交うに違いない。

なんといっても新鮮な肉が一番だ!」

いや、下ごしらえをきっちりとした味付けで勝負の肉がいい

特殊な部位を食べられるレアな店ががいい

などなど

ま、うまい肉ならなんでもいい、という人がほとんどだとは思いますが、

肉の素材で勝負していて、しかもコストパフォーマンスに優れている、というのが

普段使いできる素敵な焼肉屋、ということになるのではないか。


そういう観点からすると浜松町の「くにもと」はお勧めしたい焼き肉屋である。

ここは淡路牛、というブランド牛、一本で勝負している店だが、

この淡路牛ってぇのがなかなかに良い。

赤身の刺身は初めて食べる多くの人が「マグロのようだ」と形容するくらい旨味に溢れている。

焼肉界には「赤身に始まり赤身に帰る」という格言があるというが、

この赤身はまさに帰りたい味ではないだろうか。

しかも、これで500円という価格が秀逸だ。

2皿、3皿食べても、財布は傷まず、心は満足という寸法だ。


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(まさに鮪のような淡路牛の赤身)


肉はお得感満点の切り落とし盛り合わせをまず注文したい。

日によって部位が違うため、当たりはずれもあるのだが、

やはり量と値段のバランスを考えると「安い」といわざるを得ない。

ま、このあたりをちょろちょろ焼きながらメインの肉を待つ、というのがこの店での正しいスタイルだろうか。


ちなみに壁の張り紙にはこんな感じのことが記されている。

焼肉の味を楽しむ店ですので、だらだらとお酒を飲みたい方はご遠慮願います

確かこんな内容だったと思う。

これは肉の味を堪能してもらいたいという店主の願いとみたい。

酒を飲んで、どんちゃん騒ぎをする輩を敬遠しているのだろう。

探求派の肉好きにとっては過ごしやすい店と言えよう。


さて、メインはミスジやカブリ、リブロース芯など稀少部位が盛り合わせとなった淡路牛スペシャルセットをいただく。


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(スペシャルセットの面々。何が出るかはその日のお楽しみということで)


ミスジは肩の内側の霜降りがしっかりと入っている肉で、これがなかなかにジューシーで良い。

カブリはリブロースの背の部分だが、これまた絶品としか言いようがない。

友人の焼肉屋の店主も言っていた。

私が一番好きな肉の部位はカブリである」と。

なんというのかなぁ…旨味たっぷりの大トロ…うーん、口の中でとろける感覚は魚では味わえないもんでしょな。サシの脂よりも肉の旨味の方がまさっているので、実にサッパリしているんですな。

これだけでも食べに来る価値はあるだろう。


「とにかくうまい肉、珍しい肉をそのまま味わいたい、財布を気にせず思いっきり食べてみたい」という方にはお勧めです。

素材そのままが美味い、というのがやはり何よりの幸せなんでしょうかね。



●「くにもと」

東京都港区浜松町2-8-9

電話:03-3435-7605

営業時間:17:00~24:00(月~金)

       17:00~22:00(土)

定休日:日曜・祝日