B級グルメを愛してる! -12ページ目

私流・回転寿司屋の愉しみ~その3~

そんなわけで、前回までの復習です。

私的良い回転寿司屋の条件は

1.常に新鮮なネタが廻っていること

2.旬のネタが豊富に揃っていること

3.のんびりできる空間であること


この3つを挙げたわけだが、もう一つ、

100円、200円の皿が充実していること、この条件も挙げておきたい。

やはり回転寿司屋である限り、安くあってもらいたい。

400円、500円の絵皿を取らないと良いネタにありつけないのでは

なんのための回転寿司屋なのか、という気にさせられる。


その最たる店が新宿の「北澤倶楽部」だろう。

ここは大間産本マグロが食べられる回転寿司屋なのだが、

その値段は1皿1500円

しかも皿には一貫のみ。

こんな皿がゴロゴロとしている。

油断していると1人1万円を越えることもありそうだ。

おいおい、回転寿司屋だぜ、頼むぜBABY、ってな感じだ。


anago

(穴子姿寿司の勇姿。デカイっすよ。これで400円也)


でもって、私の挙げたこれら4つの条件を満たす店がある。

目黒の「回し寿司 活」である。

活は美登利寿司系の店ということもあって、なかなかいいネタが揃っている。

名物の穴子一本寿司も健在だ。

「活」というだけあって、活きのいい魚が豊富に揃っている。

活系の魚はちょいと高めだが、その他の皿はさすが美登利寿司と唸るくらい安い。

200円以下の皿の充実は都内随一といってもいいくらいだ。

でもって、変わりネタもこれまた豊富。

いまの時期ならのれそれ軍艦、生しらす軍艦なんかがうまそうだ。

実に素晴らしい。

ただ混雑しているので、ひたすらマンガ読んで、というのは気が引ける。

ほどほどで切り上げるのが粋な回転寿司野郎ってなもんだ。


家の近所にあったら確実に週に1度は行っていることだろう。

ここに行くためだけに目黒近辺に住んでやろうかと真剣に考えたこともある。

アホだね。

その昔、羽根木に住んでいた頃は美登利寿司に行くのが楽しみで仕方なかった。

きっと私のDNAには美登利寿司を欲するなにかがあるに違いない

いや、よくわからんけど…


ま、なんにしても回転寿司屋は私にとっての息抜きの場所、

ゆるりとした時間を楽しんでます。


●「回し寿司 活」

東京都品川区上大崎3-1-1 アトレ目黒1F 

電話:03-5437-1228

営業時間:11:00~23:00



私流・回転寿司屋の愉しみ~その2 回転寿司屋での過ごし方~

私にとって回転寿司屋はもはや食べ物屋の域を超えた存在である。

そこは私にとっても私的空間であり、オアシスであるのだ。

回転寿司屋で過ごす時間はただの食事をするだけの時間ではなく、

日々の疲れを癒すリラックスタイムでもある。


前回、「回転寿司屋に求めること」として2つの条件を挙げたが、

3番目の条件は「のんびり出来る空間であること」というものである。

のんびりできる空間…あわただしい雰囲気の回転寿司屋は好きになれない。

渋谷にあるかっては行列なんかが出来ていた1皿100円均一の「寿司本店」なんかは

30分でお帰りください」「1人5皿以上食べてくれ」みたいな張り紙があって、とてもよろしくない。

そんな店でもありがたがって行列する人がいたのだから、均一料金の魔力とは相当なもんなんであろう。


では、どうやってのんびりするかというと好きなマンガを持っていって、読みながら寿司をつまんでいる。

まずはビールを注文。ビールのツマミにはカニサラダ鉄火巻き

しかるにマンガを取り出し、読み出す。

黙々と読む。

ビールを飲む。

寿司をつまむ。

この繰り返しである。

なんて幸せな時間なのであろうか。

好きな場所で好きなものを食べ好きなことをしている…

これほど幸せなことはない。

ちなみにいまは「加治隆介の議 」を読んでます。

その前は「ああ播磨灘」。


私にとって回転寿司屋の席は個人の空間なのである。

よって他人がどうしていようと気にならない。

どんな食べ方をしてもいい。

べっちょりと醤油を付けようが、ネタだけ食べてシャリを残そうが、自由で結構。

通常の寿司屋の場合だとそのような食べ方をされているととても気になる。

なんだコイツは的な感じだ。

しかし、回転寿司屋では個人への干渉は無粋といえよう。

それぞれが思い思いに過ごせばいい。


そうはいっても回転寿司屋での最低限のルールはある。

それは皿を取るときのマナー、である。

つまり皿を取るときに自分のエリアから出て皿を取るのは、領土侵犯

もっての他である。

私の中では皿を取ることが出来るエリアは、自分の肘を腹にくっつけて動かせる範囲内の皿、である。

あれにしようか、いやこの皿にしようか…

その範囲内であればどれだけ迷っても良い。

しかし、自分のエリア内から行ってしまったさらに手を伸ばすのは御法度だ。

これとは逆に自分の狙っていた皿が流れてきたとしよう。

どうも隣の客にその皿に狙いを付けている様子。

ネタはデカイ。これはお得だ。なんとしてもGETしたい。

隣の客が手を伸ばそうとしたその時に、横からにゅっと手を伸ばしてその皿を奪う。

これはやっちゃいかん。

レッドカード、即退場である。


それともう一つ。

一度手を触れてしまった皿は必ず取らなければならないこれだけはどうしてもも守らなければならない。


手にとっては見たものの、後からもっと良い皿が回ってきた。

できればそちらを食べたい。

だからといってその皿をレーンに戻して、他の皿を取るのは禁じ手中の禁じ手。

領土侵犯よりも罪は重い。

私は思わず注意したくなる。

回転寿司を愛するものとしては見過ごせない事件なのである。

自分が取った皿よりももっと良さそげな皿が回ってくる、

それが回転寿司

それもまた人生、次に頑張ればいいじゃないか、ってなもんである。


この2つのルールさえ守れば、あとは何をやっていても自由。

そんな居心地の良い回転寿司屋が私は好きだ。

ちなみに落ち着かない店の筆頭はシブガキ隊のスシ食いねぇ!がエンドレスで流れている、池袋の『回し鮨 若貴』だ。

スシはうまいんだが、なんだか急かされている気がしてサッと食べてサッと帰らなければいけない気分にさせられる。

世の中にはまだまだいろんな回転寿司屋があるんである。

次回は私のお気に入りの回転寿司屋を紹介します。


●「回し鮨 若貴」

東京都豊島区東池袋1-7-10
電話:03-5952-8888

営業時間:11:00~11:15

定休日:無休


私流・回転寿司屋の愉しみ~その1~

なにをかくそう私は「回転寿司評論家」という肩書きを持っている。

いや、別に勝手に名乗っているわけではなく、ちゃーんと仕事もしている。

テレビに出て回転寿司の評論やらコメントをしたりとか、

雑誌の回転寿司特集の監修やらなんやらをしているわけだ。


そんなわけで都内の回転寿司屋はくまなく廻っている。

週に1度は回転寿司

お皿が廻れば目も廻る、というわけで私的な回転寿司考を何回かに分けてお伝えしたいと思う。


私が回転寿司屋に求めることはいくつかあるだが、その中でまず2つほど紹介しよう。

1.常に新鮮なネタが廻っていること

2.旬のネタが豊富に揃っていること


まず1に関してであるが、この問題は結構根深いものがある。

みなさんも経験があるのではないだろうか、

たとえばイカが食べたかったとしよう。

レーンを見るとイカが廻っている。

手に取ってみようとしたらどうもイカの様子がおかしい。

廻りすぎ…そう彼は30分は廻っていそうな疲れたご様子なのだ。

そこで「すんません、イカお願いします」と注文をしてみる。

あいよ」とやる気のなさそうな返事と共に店員はその廻っていたイカの皿をおもむろに取りあげ私の前にグイと差し出すのである


なめんとんのか。そのくたびれきったイカを食べたくないから、注文したんだろうが

こういう回転寿司屋は論外である。


ちなみに好きな皿を次々と注文するのも良いが、私の場合は次になにが流れてくるのか、

それを待っている間が愉しい。

目の前で大量に握られているスシたち…

それが次々とレーンに並べられていく。

ギュウギュウのレーンに無理矢理割り込ませる感じでグイグイと突っ込まれる。

その大量に流れてくる皿からどれが一番うまそうなネタか、それを選ぶのが愉しいのである。


この皿のネタはデカイな…いやその後の後の方がウマそうだ…

なんてことを考えながらチョイスするわけだ。



ika

(下足付きの活イカ。この姿も回転寿司ならではか)


マグロ、イカ、サーモンなどの定番系以上に充実していて欲しいのが変わり種系のスシである。

穴子姿寿司、めねぎ、カワハギ、炙りトロ、とろろ月見…その手が廻ってくるとつい手が伸びる。

そして忘れちゃならないのが旬のスシたち。

活タコ、活赤貝、活サバなどの活軍団に季節を彩る旬の素材たち。

見事な競演である。


やはり廻っているのが見慣れたネタばかりというのはちと寂しい。

華やかさがない、っていうのでしょうか。

廻っているという形状からは見て愉しむところがないとイカンのではないかと思う。

遊園地のメリーゴーランドだって華やかだ、回転寿司のレーンが華やかだっていいじゃないか、

ってなもんである。


まさに回転寿司はアミューズメントパークだ!

愉しい乗り物=いろいろなスシたちが顔を並べる回転寿司屋はやはり愉しい。

スシを食べるばかりでなく、愉しまなきゃ損、ってな気持ちで店に行くと

回転寿司ライフがグッと愉しくなります。


次回は「私流・回転寿司屋での過ごし方」です。

田町の串カツ屋はリーマンの巣窟だった ~田町・「たけちゃん」~

大阪串カツ屋リベンジ、である。

以前『東京の串カツ屋はノンアルコール・ビールなのか 』という記事を書いた。

どうも東京の串カツ屋はいまひとつである、と述べたわけである。

その記事を見た友人が「田町にジャンジャン横丁テイストにあふれた串カツ屋があるぞ」というので、

串カツリベンジを果たすべく田町へと向かった。


take

(充実のメニュー。どれもこれも特大サイズ)


訪れた店は旧慶應中通り入り口付近にある「たけちゃん」という店だ。

18:00という早めな時間のため、まだ客は1組しかいない。

立ち飲み形式というのが、もしやの期待を抱かせる。

店の雰囲気的にはジャンジャンテイストをほのかだが感じる。

肝心の串カツはどうか?


まずは当然のようにどて焼きから入る。

串カツはどて焼きから

これは串カツ界のルールのようなもんである。

誰が決めたんだか知らんが、最初にジャンジャンで串カツを食べたときに一緒に行った関西人からそう聞いた。だからそうなんだと信じこんでいるんですが…。

どて焼きは悪くはない。

食べ放題のキャベツもパリパリとしている。これなら期待できそうだ。


ヒレ、アスパラ、ウインナー、ねぎ焼き、玉子など大阪定番系をオーダーしてみる。

「ム…」

眉毛レーダーがピクリと反応する

私はB級テイストなものに巡りあうと眉毛がヒクヒクと動くのである。

我ながら便利な機能だと思う。

衣が実にふわふわとしていて、油がもたれるということもない

うーむ、ウマイ…

ちょいと味が上品過ぎるきらいはあるが、なかなかイケる。

大阪の串カツというのは悪い油を使っている店も多くあると聞くが、

そこまでは真似せんでもよろしい、という感じだ。

take2

(左下の赤っぽいのが紅ショウガ、玉子やコンニャクなどの姿も)



次に大阪串カツ界にはなさそうなメニューをいってみる。

紅ショウガ、納豆

紅ショウガはまるでサンゴを衣で揚げたような形状。

中には薄切りの紅ショウガがつぎはぎされている。

それでサンゴのようなニョキニョキとした形状になっている。

ショウガもサクサクしており、食感もなかなか良い。

これはなかなかヒットかもしれない。

しばらくすると続々と客がなだれ込んできた。

付近の会社のサラリーマンたちだ。

背広軍団の中で串カツを食すのは正直ツライ

なんだか妙に落ち着かないのである。

チラリと聞こえてくる会話は仕事の話だ。

OH MY GOD!

せっかくのジャンジャン気分も台無しである。

気がつくとすべての席が背広軍団に占領されてしまった。

中にはOL2人組もいる。

背広に混じってOLが2人。

立ち飲み屋の光景としては奇異に映らんでもない。

なんでも日テレの「anego 」の影響で、OLに立ち飲み屋がブームだと聞いた。

篠原涼子がブームを作り出すまでに至るとは感慨深い。

よく復活したもんだ。

それにしてもジャンジャン横町の串カツ屋が背広軍団に占領されることなどまずないだろう。

居心地の悪さを感じて、退散することにする。

同行した友人がポツリとつぶやいた。

やっぱ、串カツは大阪行かなきゃな。現地で食え、ってことじゃねぇか?

まさしく。

おそらくこの店での正しい過ごし方は開店と同時に行って、サラリーマンで混み始める19:00頃に上がる、というのが良さそうだ。

しかし、東京にも大阪テイストのウマい串カツ屋があることを知ったことはメッケもんだったと素直に思う次第です。

※ 『ジャンジャン横町の串カツ 』もどうぞ


●「たけちゃん」

東京都港区芝5-20-19

03-3451-0488

営業時間:16:30-22:00

定休日:土日休



広島お好み焼きはソースべっちょりで ~渋谷「じゃけんnou」~

日本で最もお好み焼きを消費しているのは広島県、で、2位が大阪府。

あの大阪よりもお好み焼きが好きなのだから、広島県人のお好み焼きに対する誇りは相当なものなんであろう。

いや、大阪にはお好み焼き以外にもいろいろとウマイもんはあるが、広島の場合は…なんてことかもしれないが。


個人的な好みから言えば、大阪よりも広島お好み焼きを断然支持している。

粉含有量の違いがその最大の要因と言ってもいいだろう。

粉づくめの大阪に対して、広島は粉の使用が極めて少ない。

底にクレープのように薄くしかれているくらいで、上には中身の具を押さえつけるフタのような感じで玉子焼きがちょこんと乗っている。

大阪は大部分が粉で形成されているが、広島は大阪でいうところの粉部分がキャベツとソバで構成されている。

そのキャベツとソバがたっぷりと入っている中身の差において、私の中では広島風が勝つわけだ。


しかし、東京ではなかなか「これは!」と思う広島風お好み焼きには出会うことができない。

悲しい。

やっぱり東京で食べるとあくまでも広島風でしかないのだ。

広島風お好み焼きと広島お好み焼きは私の中では明確に違う

「風」ってことは似せてますよ、ってことである。

お好み焼き消費日本一のプライドからして、広島風などと現地人は書かないだろう。

広島お好み焼き、とドーンと記すに違いない。

なんてことを話していたら、渋谷に「広島お好み焼き」と男らしく書かれた店があると聞いた。

その名も『じゃけんnou』。

「じゃけんのう」といえば広島弁。

仁義なき戦い」の菅原文太アニイを思い出す。

シブイっす、文太アニイ


渋谷の宇田川町交差点を突き抜けた先に『じゃけんnou』はある。

「nou」とローマ字になっているところにちょいと危険な匂いを感じる。

そういうセンスの店は得てしてロクなことがないからだ。

店はカウンター席が10数席、テーブル席が3卓ある。

当然、カウンターで熱々のお好み焼きを食べるのが気分だが、

あいにくテーブル席は満席。


しかたく友人3人とテーブル席に陣取った。

メニューをみると一般的なお好み焼きメニューが並ぶ。

ベースのお好み焼きに好きなものをトッピングできるシステムである。

私は初めて行く店ではその店のイチ押しをいただくことにしている。

よって、お好み焼きスペシャルを選び、ねぎ焼き、とん平焼きなどをいただいてみる。

作っているのをみるとこれでもか、といった感じでどっさりとキャベツが盛られた。

これだぜぃ!

このキャベツの盛りが見ていて気持ちいいんです。


jaken

(はみださんばかりのソバが良いです)


で、できあがってきたお好み焼きにはたっぷりとソースが掛けられている。

ペロリとなめてみる。

おたふくソースの味だ。

やはり広島ソースといえばおたふくソース、なんであろうか?

おたふくソースが広島県人の心のよりどころだというのは、あながちウソではないかもしれない。

おたふくソースはトロっとしていてほの甘い。

この甘さがビールと相性バッチリなのである。

鉄板で炒めたきゃべつはしんなりとしてお好み焼きの中に隠れているが、

そのかわりにソバがあふれんばかりにハミ出ている。

うどんなんかも入れたりするみたいだが、私は何と言ってもソバを支持する

うどんでは麺が太すぎて、食感が邪魔されそうだ。

それにソバの方がソースの絡みが良いであろう。


小麦粉がほとんどないだけあって、広島お好み焼きはサクサクと食べられる。

キャベツを食べているようなものなので、かなりヘルシーである。

飲み物は…やはりビールであろう。

粉ものにはビール

これは私の中では岩よりも硬い鉄則となっている。

いや、もんじゃの場合に限り、あんずサワーありですが。


キャベツどっさりの広島お好み焼きは、かなりサッパリテイストである。

そのままじゃ、やや物足りない。

そこで私はキャベツにもどっさりとおたふくソースをかける。

いい…ソバにもソースが絡んでなんともいえない広島テイストが醸し出される。

ねっちょりソースとビールの相性は無敵の組み合わせといえよう。


カウンターでは店員とお客さんが広島弁で会話をしている。

広島県人に愛される店、ならば本場テイストに近いのかもしれない。

しかし、あらためて考えてみるといったい広島お好み焼きのウマさとはなんなであろうか?と首をひねりたくなる。

どっさりのキャベツか、それともどっさりのソバなのか、それが混ざった感じがいいのか…

店を出た後でふと思ったが、なんだか粉ものを食べた、という感じがしなかった

おたふくソースをなめながらビールを飲んでいた、そんな気さえする。

にもかかわらず、胃がもったりとしないのはやはりキャベツ主体のヘルシーさゆえのことなんだろう。

腹が減っていたら2枚くらいならペロリといけそうだ。


粉ものにして粉ものにあらず

広島お好み焼きは本当にお好み焼きなのか?と思った次第です。



●「じゃけんnou」

東京都渋谷区宇田川町36-16 プラザマリーナ2F

電話:03-3463-3588

営業時間:11:00~23:45

定休日:無休




蒲田のピリ辛創作カレーに果てしない野望を見た ~蒲田「タージ・マハール」のオヤジ学~

またしてもカレーの話である。

先日予告したとおり、蒲田の「タージ・マハール」へと足を運んでみた。

蒲田西口より徒歩1,2分。商店街の中にあるカウンターだけのカレー専門店である。

インド料理屋みたいな名前だがカレーしか出していない。

とにかくウマいから一度、食べてみては、と何人かの友人に勧められていた。

このような未知の強豪に出会うのはB級グルマンの至福の幸せといえよう。

そこで、この店に長年、足を運んでいるという友人に連れられて「タージ」の門をくぐった。


店内にはインドの写真やらポスターやらシヴァ神やらが飾られている。

インド料理屋……の趣がないでもない。

メニューを見てみる。

定番メニューが7、8種類程度。スペシャルインドカレー、ポーク、ラング豆とラム、オクラ、ナスなど肉と野菜のカレーがバランスよく配置されている。

それに加えて、旬のメニューがこれまた7,8種類程度張り出されている。

中には「サメ JAWS」などと書かれたメニューもある。

聞いたところによると「羊の脳味噌のカレー」、「ワニカレー」、「ダチョウカレー」などというメニューも秘かに登場したりするという。

オヤジの気分でいろんな肉を仕入れてくるのだろう。

このヘンのセンスは明らかにB級であるが、肝心の味はどうなのであろうか?


初心者らしく店のオヤジに「すんません、初めてなんですけど何食べたらいいですかね?」と聞いてみる。

オヤジはぶっきらぼうな感じで「なんでもいいよ、どうせオレが勧めたのなんか食べないでしょ」ときた。

「結局、何言ったってさ、嫌いなもんは食べないわけだから。オレが野菜がいいって言ったって、野菜嫌いな人は注文しないわけよ」

「いえ、ボクは好き嫌いなんで…ゴニョゴニョゴニョ」ってな感じになる。

ま、好きなものを食え、ということだろう。

なので、スペシャルインドカレー(チキン)を注文してみる。


taji

(濃厚サラサラのスペシャルインドカレー)


まずオーダーと同時にサラダが出される。

それから4,5分して炒め上がったカレーが登場した。

見た目、超サラサラの液体状カレー、である。

札幌風のスープカレーとはちょいとわけが違いそうだ。

スープカレーというのはあくまでもルーはスープのようなもので具がメイン、といったイメージがあるが、

タージのカレーはスパイシーな香気が立ちのぼるカレールーにそそられる。

ご飯は赤い、赤飯のように赤い。

赤飯かと思ったら古代米だという。古代米がこのカレーに合うとのことだった。


いよいよルーをご飯に掛け、口に運んでみる。

ム……、濃厚だ

スープ状のサラサラカレーというとどうしてもスープテイストというか軽~い感じがする。

ブイヨンの味だとかなにかニゴリが感じられるのだ。

が、タージカレーは見た目とは異なり濃厚な深みが感じられ、しかもかなりスパイシー

スパイスのみで出来ている本格インドカレーの様相を呈している。

しかし、いわゆるインドカレーと決定的に違うのは、

このサラサラ感であろう。

サラサラだが濃厚、濃厚だがサラサラ

一見すると相反するこの2つの命題が見事に調和しているのである。

さすがだぜ、タージ・オヤジ!


チキンもふっくらとした食感がたまらない。

なんだか作り置きのようなパサパサした肉が出てくるとガッカリするのだが、

タージ・チキンはテリテリのできたて、みたいなふくよかな味わいがあった。

食べ進むうちにジンワリと汗がにじみ出てくる。

ジンワリと汗が出る、というところが、程よいスパイス加減であることの証明だ

あー、満足。


かなりスパイシーであったため、口腔内にスパイスの余韻がじんわりと長く残る。

その余韻がただ辛いだけではなく、いい感じの余韻であるのだ。

余韻の残るカレー……蒲田的風流ですな。


食後にいろいろとオヤジに話を聞いてみた。

なんでもインドの各地でカレーの勉強をしまくったという(いまでも年に数度インドに行くらしい)。

それでたどり着いたオヤジ的究極のインドカレーをさらに日本風にアレンジして、

23種類のスパイスを調合したサラサラ濃厚カレーに仕上げた、とのことだった。


オヤジは語る。

「近くの会社員とかがさ、転勤になるじゃない?するとうちの味が恋しいっていうのよ。

だからパック詰めにして地方発送も承ってんの。

そこでいろいろとパックづめの研究をして、半年くらい防腐剤なしで腐らないようにしたのね。

これをね通販ベースに乗せて、全国で売ろうと思って、工場の建設とかも考えたんだけどそれは断念したのよ」


全国で売る?

なんということを考えるオヤジだ。

この手作りカレーをいったいどのくらい量産できると考えたのだろうか?

大勝軒(永福町)のオヤジは、ラーメンセットの通販で年商が数億円だと店のパンフに記してある。

そんなことを考えているのか?

いや、このオヤジのことだからそこまでの野望はないとみるが…。


「常連さんの中にはね、1日2回食べに来てくれたりとかね、毎日食べに来てくれる人もいるのよ。

毎日食べても食べ飽きないカレー、それがうちの味だと思うのね」


毎日食べても食べ飽きないカレー…

なんという理想の高さだろうか。

これこそがオヤジの野望に他ならないだろう。

そんなことを考えながら帰途についていると口腔内に残っていたスパイシーさがだんだんと調和されていくというのか、

すっきりとした余韻に変わっていった。

なるほど、毎日食べたくなるカレーか…、ちょいとオヤジの言っていることがわかったような気がした。


「タージ・マハール」には蒲田的究極カレーが眠るのであった。

●「タージ・マハール」

 東京都大田区西蒲田7-70
 電話:03-3734-0913

 営業時間:11:00~14:00   17:00~21:00

 定休日:日曜、その他適宜

「カレー記念日」だから仕事人なムルギー気分

今日は「カレー記念日」なんである。

なんでもカレーが船に乗って横浜港から入ってきた、ことに由来し、

横浜港の開港記念日である6月2日を「カレー記念日」に制定した、ということだ。

本日は蒲田にある「タージ・マハール」という超ウマ、しかしあやしいというB級テイストな

カレー屋に行こうと誘われたのだが、残念ながら夜は用事があって断念。

近日中には訪れる予定ですのでお楽しみに。

そんなわけで、お昼に渋谷の「ムルギー」に行くことにした。


「ムルギー」がどんな店なのかは『ムルギーな雰囲気こそB級グルメの王道だった 』を読んでいただきたい。

オヤジなき後、あやしさは半減したものの、「ムルギー」の味は健在であったりする。

私にとってあの味は麻薬だ。

いや、私はタバコも吸わない人間であるからして、本当に麻薬がヤミツキにならざるをえないものなのか甚だ疑問ではあるのだが、なぜか渋谷に来るとムルギーに心ひかれてしまう。

死ぬまでにあと何回ムルギーを食べる幸せにありつけるのだろか…

などと考えるとこれはもう何が何でもムルギーを食べたい、いや食べなければいけないのではないか、という気にさえなるのだ。

こりゃ、麻薬というよりは強迫観念ですな。


私をそこまで思わせるムルギーの味とはどんなものなのか?


murugi

 (カレー富士とルーの湖の図)


ムルギーカレーの形状は「富士山と河口湖」の風情を持っている。(ちなみに本当はエベレストのイメージらしいが)

私はさまざまなカレーを食しているが、これほど神々しい雰囲気を持った盛りつけをしているのはムルギーだけではなかろうか、と感じる。

とにかくご飯が山のように盛られている。

山のように、といっても大盛りという意味ではない。

本当に山の形状に盛りつけられているのだ。

そして山の麓にはカレールーの湖が広がっている。

湖には玉子の島が浮かんでいる。

うーむ、カレー美とはまさにこのことか。

カレー記念日に食べるにはまさにうってつけの逸品といえよう。


で、おもむろにスプーンで山を切り崩していく。

自然崩壊、な一瞬である。

ちなみにご飯を山状に盛りつけているのは、ご飯とカレールーを初めから混ざらないための配慮、ということだ。

よって、ご飯を切り崩してカレールーに浸けて食べるのが正しい。


カレールーはことことに煮込まれており、相当にスパイシー。

糸を引くように浮かんでいる油が曲者で、これがムルギー独特の味を醸し出している。

鶏肉がベースということだが、あらゆる食材が跡形もなく煮込まれている

これだと具にまどわされることなく純粋にカレールーの味を楽しむことが出来る。

天ぷら蕎麦なんかにしてもそうなんだが、いったい主役は蕎麦なのか天ぷらなのかハッキリさせて欲しいと思う。

私の場合、あくまでもカレーが主役であって欲しいと願っているわけだから、ゴツイ具で邪魔されたくはないんである。

ルーの中にかすかに残る鶏肉やたまねぎなどの食感がまた良い。


口に入れるとジワジワと辛さが広がってくる

相当に煮込まれているだけあって、かなりコクを感じる。

このジワリとくる辛さを和らげるのが、ちょろりと添えられているチャッツネである。

中盤戦からはこのチャッツネが威力を発揮してくる。

ご飯、カレールー、チャッツネが混ざり合って、複雑な味わいを醸し出してくるのである。


そして忘れたならないのが玉子の存在だ。

いまはなきオヤジさんがあれだけしつこく玉子入りを勧めるのもわかる。

玉子の上にはジグザグにケチャップが掛かっている。

あらゆる内容物がトロトロに煮込まれて形骸化している中で、

ゆで玉子の微妙な歯ごたえはありがたく

普段は歯ごたえなどを感じないゆで玉子が、こんなにも歯ごたえのあるものなのか、

あぁ、ありがたやありがたや、ってなもんである。


最後の方になるとご飯の残量が気になってくる。

さすがに山だけあって量も多い。

残り少ないカレールーをご飯に少量付け、残していた玉子と一緒にかき込む。

最後の至福の瞬間である。


このカレーの味はいったいなんなんだろうか?

私は食べる度に常々思う。

ラーメンと違って、なんとか風というカテゴリーでは区別できない。

仕事人みたいな味、とでもいうのであろうか。

「この仕事はムルギーにしかできない」と人々に言わせてしまうような雰囲気を持った味なのである。


過去、さまざまな人間がゴルゴ13の正体を暴こうとした。

私もムルギーの正体を暴くために今日もムルギーへと通った。

ゴルゴ13に関わった人間たちが命を落としたのと同様、

私もムルギーのためにどうにかなっちまうんじゃないかな、と思った次第である。


●「ムルギー」

 渋谷区道玄坂2-19-2
 営業時間 11:30~15:00   16:00~20:00  木曜11:30~15:00

  定休日:金曜日





東京の串カツはノンアルコールビールなのか ~新宿「桃の華」の巻~

前々から東京に大阪の串カツ屋が出店されないかとずっと思っていたのだが、

ようやく新宿3丁目にオープンした。

やはり串カツ屋というのはそれなりの場所にあって欲しい。

華々しい繁華街、ってのはまったくもって似合わない。

ま、東京ならば錦糸町、阿佐ヶ谷あたりがベスト、新橋、新宿3丁目あたりも良さそげだ。


桃の華」というのがその店の名前だ…

なんだか2流の居酒屋だかラーメン屋だかの安っぽいネーミングなのがちょいと気になる。

以前にも当ブログに書いたがジャンジャン横町の串カツ屋 の場合、「てんぐ」「八重勝」「きくや」など気合いの入った名前であったりする。

ま、ネーミングの件は良しとしよう。

2度漬け禁止の串カツを食べることが大事なんである。


店に入ると雰囲気が明らかに違う。

猥雑な雰囲気がないんである。

うらぶれた感じのオッチャンたちがチビチビと酒を飲みながら楽しんでるようなあの雰囲気…

あれこそが串カツの魂、だと思うのであるが…


見るとおかまの皆さまが仕事前の食事をなされていた。

上の階におかまバーが入っている。

きっとそこの人々だろう。

少なくともいまどきの若者に囲まれて串カツを食べたくはない。

やはりコッテリ系の雰囲気の中で食べるのが気分である。

おかま軍団の迫力がちょっと大阪っポクてホッとする。


doteyaki

(どて焼きはこってりやわやわに煮込まれていた)


まず、はじめにどて焼きを注文する。

大阪よりも甘め、というか上品な味がした。

東京チックにアレンジされているのだろう。

やれやれ、ヘンな気を回さなくて良いのに。

続いて牛、豚バラとハムカツにチャレンジしてみる。

ハムカツのチープさというのは串カツにピッタリとしている。

ソースにジャボッと漬けて口に運ぶ。

2度漬け禁止は東京でもいかされている。

ビールをグビッとやって、揚げたての串カツを頬張るというのは

なんとも幸せな瞬間なのであるが、

東京の串カツ屋だとどうにも気分が乗らなくていけねぇや。

串カツは店の雰囲気がかなり重要であることにあらためて気づく。

なんかヘンにオシャレにまとまっているとどうにも落ち着かない。

店としてはデートで女の子を連れて来られる店、というのを意識しているのだろうが、

これは残念ながら誤った見解である、と思う。

店のネーミングも失敗してるしね。


大阪に串カツ屋ってのがあってよー、それがワイルドでなかなかいいんだよ。

東京にもオープンしたから行ってみねぇ?

みたいな感じで女の子を連れて行ったら、ありがちな居酒屋の雰囲気であった…

これはちょっと痛い。

ジャンジャン横町のギトギト感、まではいかないものの、

そういう気分を満喫したくて行くんだけどなぁ…


吉本なんかの毒舌でならした生きのいい若手が、なぜか東京に来ると毒っぽさが消えている、なんてことがよくあるが、なにか全国標準にならなきゃイカン、みたいな意識が大阪人には働くのであろうか。

これもコンプレックスがなせる技か?


しかし、逆に考えると大阪気分を満喫したければ大阪に来い、というプライドみたいのも感じる。

どうして、本場で味わう料理はあんなにうまく感じるのだろう?

と常々疑問に思っていたが、やはりその土地の雰囲気が店に馴染んでいるからなのだろう。

大阪気分を味わえない串カツ屋というのは、ノンアルコールビールのようなものだ。

似て非なるもの、くらいなイメージである。


若者たちが店に来だした頃、席を立った…


●「桃の華」

東京都新宿区新宿3-8-2 クロスビル1F

電話:03-3226-9411

営業時間: 17:00~02:00 月~木 

       17:00~04:00 金~土 

定休日:日曜



ノスタルジーなコロッケパンの話 ~銀座・チョウシ屋の熱々コロッケ~

銀座をブラブラとしていたらふとコロッケパンを食べたくなった。

なぜ銀座でコロッケパンなのか、というとチョウシ屋という肉屋があるからだ。

なんでも日本で初めてコロッケを売った店らしい。

子供の頃は肉屋で買うコロッケがなによりのご馳走だった。

母親と一緒に買い物に行って、帰りに熱々のコロッケを買ってもらう…

新聞紙にくるまれたコロッケはちょっと活字の匂いがしみついたりしていて、

独特の味をしていたのが記憶に残っている。

個人的なファーストフードの元祖といえば、コロッケであることは間違いない。


tyousiya

 

さて、チョウシ屋は昭和2年創業の老舗中の老舗である。

歌舞伎座の裏にある小さな店だが、なにやらこの店の付近だけ南砂町商店街、みたいなのんびりとした空気が漂っている。

ここチョウシ屋ではオーダーを受けてからコロッケを揚げる。

目の前でジュウジュウといい音を立てて、こんがりとキツネ色に染まっていくコロッケを見ていると幼い日の記憶がふと甦ってくる。

「オレのコロッケが揚がっていく…」という思いからよりコロッケに愛着が沸いてくるのである。

揚がったコロッケはおかあさんがザクッと包丁で真っ二つに切る。

揚げたてだけに本当にザクッ、という音がするのだ。

コロッケは音で楽しむ食べ物、ということに気がついた。

 

コロッケを挟むパンはコペパンか食パンかを選択できる。

熱々のコロッケにソースをダラッと掛けて食パンに挟んで食べる

気持ちの良い公園で食べたらきっと至福の時間を味わえるに違いない。

残念ながら食パンは終わってしまっているとのことで、コペパンに挟んでもらうことにする。

コペパンに洋辛子をサラッと塗って、コロッケを挟み込む。

これだけ、である。キャベツの千切りなども入っていない。

この辛子がほどよく効いていて、食欲を増進させるのである。

 

歩いて数分のところに京橋公園があるので、そこで食べることにしてみる。

気分的には小学校時代に愛飲していた森永の三角パックのコーヒー牛乳が欲しいところだが、

さすがにそれは手に入らないだろう。

いまも三角パックのコーヒー牛乳は存在しているのだろうか?

ご存知の方がいたら教えてください。

 

コロッケはやや油がもったりとするものの、昔懐かしきコロッケを彷彿させる。

ひんやりとしたパンと熱々のコロッケを同時にガブリ、とやると口の中で美味しさが倍増するのである。

数年前に神戸屋コロッケが流行って、コロッケにスポットが一瞬、当たったが、

この味は一過性のものではないことをひしひしと感じる。

郷愁を思い起こさせる味、とでもいうのであろうか。

公園のベンチに座って、コロッケパンを囓っていると

ふと子供の頃にジャングルジムから落ちて頭から血を流したことだとか、逆上がりのしすぎで頭に血が上ってふらふらになったことなどを思い出した。

なんでだろ?

最後の方になるとご馳走になるのがソースの染みこんだパン、である。

これが何とも味わい深くて良い。

子供の頃にご飯に醤油をかけただけの醤油かけご飯が好きだったが、

シンプルながら味わい深いのである。

 

都心の小さな公園でチョウシ屋のコロッケパンを頬張るほど幸せなことはない

いまっぽい味ではなく、昔ながらのコロッケだからこそ味わえる幸せなのであろう。

こういう素朴さをしみじみと実感できる自分がなんとも素敵な存在に思えてきた。


●チョウシ屋

東京都中央区銀座3-11-6

電話:03-3541-2982

営業時間:11:00~14:30  16:00~18:00

定休日:土曜、日曜、祝日

まさにディープ・インパクト!思わず目を見開くその味とはいったい…~「焼き肉ともたん」は爪を隠す

引越祝いをしてくれるというので、友達に食事を招待された。

とにかくうまいという噂の焼き肉屋がある 、とのことだった。

しかし、場所を聞いて「ムムム…」とは思わざるを得なかった。

目黒区の住宅街、それも駅からもかなり離れた場所なのであった。

 

私のことを知り尽くしているヤツのことだから、普通のうまい店に連れて行くということはないだろう。

なにかきっと大がかりな仕掛けがあるに違いない。

そう思って、店の前までたどり着いて驚いた。

これがなんともまぁ、町の中華料理屋風 とでもいうのか、地元に見事なまでに溶け込んでいる感じのシャビーな店構え だったのである。

何の情報もなくて店の前を通ったら確実に通り過ぎてしまうことだろう。

 

本当にここがうまいのか

過去、さまざまなB級店を見続けてきた私であるが、今回ばかりは謎、というしかない。

あまりB級店の匂いが漂ってこない のである。

どんなに普通さを装っていたとしてもB級店には隠しきれないなにか、が漂っているものである。

ただならぬ雰囲気そこはかと漂う美食の香り

しかし、ここ「焼き肉ともたん」は普通すぎる としかいいようがない。

たとえば、いわゆるB級店が絶対に忘れられないインパクトの強いクラスメイト、だとすると「ともたん」の場合は、なんか顔も忘れちゃう感じの地味なクラスメイト 、といった役回りなのである。

 

ギーッと扉を開けて入ってみた。

店内も極めて地味である。テレビからは野球中継が流れている

いかにもの地元焼き肉屋 、といった風情だ。

食にこだわるヤツのことだからなにか仕掛けがあるのではと思ったが、今回ばかりは失敗したか、と思った。

 

zabuton


しかし、肉が出てきてブッたまげた。

店構えからはとても想像できない、ヤル気マンマンの肉 なのである。

まず一番最初に頼んだのは通称・ざぶとんといわれる肩ロース である。

これが焼き肉界ではありえないくらいの肉厚

さすがざぶとんと言うだけあってステーキといってもいいくらいだ。

表面に焦げ目が付き中がジューシーになったくらいを見計らって1枚、口に運んでみる。

 

 

なんというかなぁ……

思わず目を見開いてしまう 。そんな感覚っておわかりになるだろうか?

つまりマジで!」という衝撃 なのである。

ウマイとかそんな言葉を発している場合ではないのである。

エー、なんだこれは、見たことも聞いたこともないぞ 」と目の前の網で焼かれているこの肉がいったい何者なのかを確認しなければならない

そんな感覚であった。

 

塩でお任せ、ということにして豚トロやハラミ、ホルモン などが次々と出てくる。

塩味というとレモンがつきもの、と思われている方も多いかと思うが、

ここの肉にはしっかりとした下ごしらえ がしてあるのかすでに絶妙な味加減になっている。

ちょっと幸せな気分になってくる。

引っ越しの重労働で疲れきった体にみるみるエネルギーが充填されていくのが手に取るようにわかる。

 

最後はタレカルビをガス炊きのご飯 と共に味わう。

ごちそうさまでした。

そういえば最後に出されたパイナップルも軟弱な筋張りパイナップルが多い中で、グワシとした歯ごたえがあって美味でした。

 

takashima


まさか俳優がこんな店を知っているとは意外だなぁ…

連れてきてくれた高嶋政伸クン ありがとう。「こち池 」頑張ってください。

でもって、一緒にいった尾崎右宗クン は5/27日までTBSの昼ドラ「湯けむりウォーズ 」に出演してます。

こちらもよろしく。

 

高級店でうまいものに出会った時よりも超B級店で信じられないものに出会った時の方が感動は大きい

味に穴場感がプラス されて運命の出会いみたいに感じるからであろう。

 

B級人間はB級を知る 、とよくいう。

っつうことは高嶋政伸はB級人間ってことになるなぁ…

持つべきものはB級の友達 、ってことで。

 

●「焼き肉 ともたん」

 目黒区油面付近


高嶋政伸HPはこちら

尾崎右宗HPはこちら